ホーム » 小説 » 小説/や行 » 藪の蔭(山本周五郎)

643 名前:1/3 :2011/07/28(木) 11:01:21.00
山本周五郎の短編「藪の陰」

武家の娘・由紀は今夜が祝言で、夫となる納戸役・休之助の退勤を皆と待っていた。
しかし休之助は腹に刀傷を負った姿で運び込まれ、当然祝言は中止。
実家の親は由紀を連れ帰ろうとするが由紀はそれを拒否し、嫁として夫の看病をする。

倒れていた現場には特段人と争ったような形跡はなく、切腹に失敗したという趣旨のうわごとを漏らす休之助。
回復途上に上役が家を訪れ長い間話し込んだり、
夫から看病の礼より前に「何も聞かず八十両用立ててくれ」と頼まれたり、
嫁入り道具を売って足りない分を借りに行った実家の親から離婚を勧められ、拒絶すると親子の縁を切られたり、
理由も明らかにされないまま夫が役目を解かれたり、由紀の新婚生活はとにかく疑惑まみれで悲惨。


644 名前:2/3 :2011/07/28(木) 11:01:31.49
しかし由紀は武家の妻として夫や婚家の役に立ちたいと誰にも相談せずに頑張る。
琴を習いに行くと嘘をついて、町人相手に出稽古をしたりして家計を助けていたが、
事情を何一つ知らない姑から「こんな時に習い事なんていいかげんにしなさい」と怒られ傷ついた。

しばらくたったある日、夫の同僚・瀬沼が訪ねてくる。心から嬉しげに迎える夫。
由紀が茶を運ぼうとすると、瀬沼の尋常ではない声と夫が言うなと制止する声が聞こえる。

瀬沼に闇討ちを掛けられたというのが祝言の晩の大けがの真相であった。
瀬沼は米の売買に手を出して、公金を横領していた。
それを休之助に見つけられ犯行に及んだのであった。


645 名前:3/3 :2011/07/28(木) 11:02:03.39
「仕損じたことを翌日知るも勇気がなく自首も切腹もできずつらかった。お前にその気持ちがわかるか。
そうこうしているうちにお前が罪をかぶって公金も補填し役目を解かれたと知った。
何でそんなことができるんだ。それを知った時の俺の気持ちを察してくれ」と泣く瀬沼。

休之助は「米取引を始めた段階でお前に意見するべきだったのに俺はそれを怠った。
なのでお前が横領した責任の半分は俺にもあるから、自分に出来る償いをしたまでだ。
お前は立派に立ち直って、江戸詰に出世するそうじゃないか。これからも公のためにしっかりやってくれ」
と淡々と言う。それを聞いた由紀は、夫の深い心も知らずに
あの程度で役に立った気になったり傷ついたりしていた自分を深く恥じる。


649 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/28(木) 13:51:45.26
>>643
面白かった
たまにこういう人いるけど家族は巻き込まないでほしいよね

653 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/28(木) 15:45:05.26
>>643-645
発表当時は美談だったんだろうけど
今は登場人物の気持ちを分かる人はいなさそうなのが後味悪い。
そんなこと言ってる自分もなんだかもやっとするし。

 

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山本周五郎中短篇秀作選集〈3〉想う
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