ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その126A » 夢の中 悪夢の中(三原順)

436 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/27(木) 23:23:04.33
最近文庫化された三原順の短編漫画「夢の中 悪夢の中」

主人公は読書好きの少女。
しかし彼女以外の家族(両親と兄3人)は、
とにかく食べることとスポーツとみんなで騒ぐことが大好きで、
静かにしているのが好きな主人公を異常者扱いする。
母親の作る食事はいつも量が多く、夕飯はテレビのスポーツ中継を見ながら。
その後は寝るまで家族全員で一家団欒。
主人公が「本を読んだり勉強したりする時間が欲しい」と訴えると、
母親は「この子は家族の愛情を受け付けない」
と精神科医のところに連れて行き、
「娘さんは異常ではないですよ」
と医者に言われると、その医者をヤブ医者扱いする始末。

騒がしい家にいるのが耐えられない主人公は、
フェンシングを始めたと嘘をつき、放課後を図書館で過ごすことにする。
フェンシング部の友達に協力してもらい、最初は上手くいくが、
ひょんなことから兄にばれてしまい、無理やりソフトボールチームに入れられる。
運動部で活躍する兄たちに似たのか、そこそこ運動神経の良かった彼女はすぐにレギュラーになるが、
毎日の練習に疲れてしまい、本を読む時間も気力もない…。


437 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/27(木) 23:23:55.10
ある日、主人公は練習中の怪我でアキレス腱を切って入院し、
病院で知り合った女性から、親戚の家の蔵書整理のバイトを頼まれる。
たくさんの本に囲まれ、空いた時間には本も読める。
その家の主人や息子とも、本の話で盛り上がることができる。
彼女にとってそこはパラダイスだった。

高校卒業と同時に、主人公はその家の息子と結婚した。
結婚後も母親は干渉してきたが、
夫の転勤で遠くに引っ越したことで、実家とも距離を置くようになり、
彼女はようやく理想の生活を手に入れる。

彼女の妊娠がわかった矢先に、母親が事故で重体との連絡が入る。
見舞いに駆けつけた彼女に、母親は意識が朦朧としながらも、
「お前のことが心配だ。私もみんなもお前を愛しているのに、
お前はちっともわかろうとしない。それをお前にわからせるまでは死ねない」
と言う。
「そうさせたのは誰なのよ!
あなた達が言うほど私は変人でも出来損ないでもないって、
私はいつも自分に言い聞かせるのに忙しかった。
それなのになんであなた達を愛する暇があるのよ!」
と心で思いながらも、それを言葉に出来ない主人公。
その直後、母親の容態は急変し、そのまま死んでしまう。


438 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/27(木) 23:26:40.67
数年後。
生まれた息子は主人公の家族に似て、
食べることと騒ぐことと体を動かすのが好きな子供に育った。
彼女の言うことを聞かない息子に対して、腹を立ててしまうこともしばしば。
一度手を上げてしまい、鼓膜を破ってしまったこともある。

主人公の兄に子供が生まれた。
夫は自分がお祝いに行くと言い、
一人でしばらく考えた方がいい、このままだと君にも息子にも良くない、
と彼女に言い残し、息子を連れてプレゼントを買いに出かける。
「君のお義母さんは、自分の理想を娘に押し付けてきたと君は言ったけど、
今の君は、この子にお義母さんと同じ事をしているとは思わないかい?」

いつか自分が母親になったら、子供に無理強いなんてさせない、
その子の好きなようにさせてあげたいと思っていたはずなのに、
なんでこうなってしまったんだろう…。
確かに母さんは私のせいで不幸だったけど、
だからと言って、私は母さんを愛せばよかったの?

ふと部屋に飾ってあった写真立てが落ち、拾い上げた彼女はそれを見て叫び声を上げる。
その写真は母親の写真だった。
歯茎を剥きだして笑う母親の顔が嫌いだった主人公は、口を閉じた写真を飾っていたのだが、
その写真の中の母親は、歯茎を見せて笑っていたのだ。

その頃夫と息子は、おもちゃ売り場で生まれた子供へのプレゼントを選んでいた。
楽しそうにプレゼントを選ぶ息子は、主人公の母親と同じように、
歯茎を剥きだして笑っていた…。

 

夢の中 悪夢の中 (白泉社文庫)
夢の中 悪夢の中 (白泉社文庫)


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