ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その131 » 時じくの香の木の実(山岸凉子)

584 名前:1/2 :2012/06/24(日) 00:57:33.14
山岸凉子「時じくの香(かぐ)の木の実」

主人公は8歳の幼女。日本を影で支配する一族の頂点に立つ巫女である。
8歳ではあるが、「8歳で不老不死となった」のが真相。
同い年の妾腹の姉と巫女の座を賭けてある試練を受け、主人公が勝った。
主人公は不老不死のみならず、予言と先見の能力をも得た。代償に聴覚を失ったが。

その美貌と出自を顕すように、主人公は日向(ひゅうが)、姉は日影と呼ばれている。

負けた日影は、日向の予言を一族の者に伝えるだけの存在である。
日向は、
「ひょろひょろと背が伸びて間が抜けた顔」になった日影、
「胸と腰に重たい脂肪がついた平凡な肉体」に成長した日影を嘲笑う。

日影に月のものが訪れると、日向は手足が痺れ声も出なくなる。
(日向はそれが何なのか理解していない。月に一度生臭い臭気を撒き散らす不浄の存在と断じる)

日向は同腹の長兄に憧れていた。それは日影も同じだったらしい。
長兄が日向(と一族全員)の反対を押し切って結婚した日、日向の暮らす離れと母屋を結ぶ廊下が崩れる。
なんとか母屋に渡った日向は、日影の自慰を目撃する。
兄が離婚し、再婚してからもたびたび廊下が崩れる。


585 名前:2/2 :2012/06/24(日) 00:58:54.10
ある日、権力者の娘と再婚した長兄が日影を抱いている現場を覗いた日向は、怒り狂って割り込む。
しかし、行為はおかまいなしに続く。
日向はやっと、自分が肉体を失っていたこと、自分が日影にしか見えないことを知る。

不老不死とは、「この世で成長もせずあの世へ旅立ちもしない」ことを指していた。
処女を失ったことで一族を追放された日影を蔑むどころか、日向は敗北感に打ちのめされる。

一族は、長兄が日影に産ませた赤子だけを引き取る。その子はインターセックスだった。
一族の者は、その子が8歳になれば日向と日影が受けたのと同じ試練を与えるだろう。
日向は8年後を、声も出せず手足も動かない体で待つ。
「その時こそ、性という凶々しさのない真のシャーマンが誕生するでしょう」
「私は一族に、世界を掌握するほどの権力を与えるつもりです」
「バカにしないで下さい、私の分別まで8歳のままというわけではないのですから」

キノコ雲をバックに、市松人形を抱いた振袖幼女(主人公)が座っている一枚絵が最後のページ。
不安にさせるラストシーンである。
8歳の幼女にこの運命を与える作者、容赦ないww

 

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