白い服の男(星新一)
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628 名前:1/2 :2012/06/25(月) 01:08:12.70
- 星新一「白い服の男」
舞台は最終戦争をくぐり抜けた遠い未来、主人公は特殊警察の分署長。
特殊警察は恒久平和のために日々働いている。その業務の一つが盗聴である。
犯罪などという低次元な事は一般警察に任せておけばいい。
特殊警察は世界平和を乱すものを芽のうちに摘み取るのだ。盗聴機の一つから幼児の無邪気な声が響く。
幼「パパ、遊ぼうよ。セごっこしようよ」
父「坊や、それを誰から聞いたんだい?二度と口にしてはダメだよ」
幼「知らない子だよ。どうしてダメなの?」
父「ダメだからダメなんだ!」
激しい平手打ちの音と、幼児の泣き声。
母親が割って入るが、父親の説明を聞いて長い折檻に加わる。
主人公は、この幼児を監視するよう命じる。街の広場のさらし台には【人類の敵】という標識があり、数名の「犯罪者」が繋がれている。
善良な市民が彼らを備え付けの鞭で力任せに叩く。
定期巡回に出た主人公も、支給品の電撃鞭で叩く。市民の密告で、少年二人が逮捕された。
コピーにコピーを重ねた、古い新聞の切れ端を所持していたのだ。
銃を構えた兵士と爆煙の、おぞましい戦争写真が載っている。
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629 名前:2/2 :2012/06/25(月) 01:10:03.32
- 「憎むべきセの写真…」
主人公には、戦争というおぞましい言葉を口にすることがどうしてもできない。図書部門では、歴史と文学の書き換えに忙しい。
各部門の歴史から、戦争の爪痕を拭い去るのだ。
砦跡があれば、古代に流行した大規模なゲームを細かいルールまででっちあげて説明する。
説明しきれない場合、まるごと消去する。「風と共に去りぬ」「三国志」「西部戦線異常なし」
これらの文芸作品は訂正不可能とされ、近いうちに焼却される。また市民からの密告があった。森の中で大勢の子供たちがセごっこをしている。
主人公は叫ぶ、
「急行せよ、私も行く。逃げる者があれば射殺せよ」特殊警察の制服は磨かれた歯のような純白。
青い腕章には平和の象徴の白い鳩。
「我々の曇りない心のようではないか」戦争という概念を消せば戦争はなくなる、のか?
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631 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/25(月) 01:39:52.78
- >>628-629
言葉狩りや放送禁止用語への皮肉なんだろうね。
上辺だけ整える事の滑稽さかな。
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632 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/25(月) 10:36:18.38
- >>628
途中までてっきり幼児がお父さんにセックスごっこしようって言ってるのかと思ったわ