ホーム » 小説 » 小説/あ行 » おもいでエマノン(梶尾真治)

273 名前:1/4 :2012/07/19(木) 21:20:23.70
思い出したSF小説「エマノン」シリーズの1エピソード

主人公エマノンについては説明が難しいからものっ凄ーく適当かつ簡単に分かり易く言う
エマノンは自分の記憶を子孫に引き継ぐことが出来る存在
かつては地球上に初めて誕生した単細胞生物の一匹だったエマノンは、
自分が単細胞生物から進化して人類に至るまでの間柄を総て記憶している
いわば進化の生き証人で、猿が道具や火を使うことを覚えて人類に進化した瞬間にも立ち会っている

ある時、少女だったエマノンは、超人的特殊能力をもつ少年と出会う
少年は自らを“新人類”と称し、「“神に選ばれた新人類”として、“愚かな旧人類”を導いて救済する」という野望をエマノンに語る
少年はその特殊能力でエマノンの素性を総て理解しており、エマノンを“進化の最先端”と呼び、
「エマノンが“最先端”であるならば、“新人類”である僕と結ばれて新世代の人類を産むべき」と主張する
エマノンは少年の高慢で陰険な印象の性格や思想など全てに嫌悪感を抱いて拒絶する


274 名前:2/4 :2012/07/19(木) 21:21:34.30
数年後、エマノンは少年の部下に拉致されて少年と再会する
少年は特殊能力を活かして今やアメリカ経済とポケモン産業の半分以上を裏から牛耳れる程の大人物に成っており、
医学や農業などの分野でハイレベルの研究を行ない、あと一年で世界の表舞台に進出し、
人類に長寿と繁栄を(・∀・)vもたらし、やがて戦争根絶すら実現する予定だった
「旧人類は僕を神と崇めるだろう」
少年は自らの偉業を語り、再度エマノンに求婚する
エマノンは少年を「自分を特別だと認識したいだけのエゴイスト」と貶して全否定するが、
内心では「生理的に受け付けない」と感じていた
少年は去り行くエマノンに背を向け、「君が僕のもとに来てくれるまで待つ」と言う

その後、エマノンは「少年が癌で余命いくばくも無い」という知らせを受ける。
自分を新人類として過信し過ぎて油断していたのが仇となったらしい
エマノンはまた拉致られて今際の際の少年と面会する
今まで完全無欠の超人のように振舞っていた少年だったが、弱弱しく自分の本音を語り始める


275 名前:3/4 :2012/07/19(木) 21:22:21.03
少年は人類を「愚か」と断じながらも心から愛しており、だからこそ救いたいと願っていた
そして、少年は純粋にエマノンに恋をしていた。超人ではなく平凡な男として生まれ、
平凡な女であるエマノンと恋に落ち、毎日絵を画いて暮らす、そんな人生を想い描き続けていた

エマノンは少年の手を握り、「今の素直な君は素敵だ」と語りかける
少年は一瞬安らかな表情を浮かべるが、すぐにまた苦悶の表情を浮かべる
「あと少しで世界を変えられるのに・・・
 “神よ、なぜ私を見捨てるのですか”この言葉の気持ちが今なら理解できる」
少年は悲観の末に息絶える
その瞬間、エマノンは奇妙な感情を抱く

エマノンが医療施設を立ち去ろうとした時、施設の研究者が騒ぎ始める
「少年の癌細胞から癌の特効薬が発見されたんだ!」
研究者の興奮をよそに、エマノンは少年を哀れだ


276 名前:4/4 :2012/07/19(木) 21:23:22.14
癌の特効薬が誕生し、人類は癌を乗り越えることで一つ次のステップへ「進化」した
そして、少年は“神に選ばれた新人類”ではなく、死ぬことで役割を果たす“人類の捨て石”でしかなかったのだ
「だとしたら、虚し過ぎるわ」
少年は自分の能力への責任感から、自分の本来の感情や夢を押さえ込み、
モーゼやキリストの様に人類を救済しようとしたのだろう
少年の言った通り、エマノンは“進化の最先端”だった
だからこそ、“最先端”は“捨て石”でしかない存在を受け入れることが出来なかったのだ
少年が死んだ瞬間、エマノンは「少年を嫌わなければならない運命」から解き放たれた
エマノンは本当は少年のことが好きだったのだ
エマノンは数十年ぶりに泣いた

277 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/19(木) 21:28:52.22
ポケモン産業とかは誤字なんだよね

 

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