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639 名前:1/3 :2012/08/03(金) 23:19:40.44
松本清張「告訴せず」

主人公は田舎町の冴えない中年男。女房の妹の亭主(以下、義弟)のおかげで、駅前で食堂をやらせてもらっている。

義弟は議員、今度の選挙は再選できるかどうかの瀬戸際。
主人公、「東京の大先生」の所から「実弾」を持ち帰る任務を託される。
選挙前に議員の取り巻きが消えたら目立つが、駅前食堂の親父が消えたところで誰も気にとめないのだ。

主人公、「実弾」を持ち逃げして温泉地を転々とする。
ある温泉宿で盗難事件があり、任意同行を求められるが、開き直る。

「東京の○○大臣に迷惑がかかりますから、署長さんにだけ申し上げます」
「××県の●●議員は義弟です。私は選挙の裏金を持ち逃げしました。トランクの札束がそうです」
「○○大臣は心当たりがないと?ではあの金は、私が持っていてかまわないのですね」

釈放された主人公、小豆相場で大儲け。内妻のお篠とラブホ経営に乗り出す。
お篠は元温泉宿の女中、主人公と金で寝たことがあった。

逃亡者の主人公は、福山某と偽名を名乗っている。
偽名では土地家屋の登記ができないので、お篠の名義にして実印は主人公が厳重に管理している。
小豆相場の儲けはお篠にも知らせず、複数の銀行に福山名義の口座を作り、通帳は銀行に預けた。


640 名前:2/3 :2012/08/03(金) 23:21:09.54
ところで主人公は証券会社で、戦前は政治ゴロだったという噂の好々爺と知り合っていた。
主人公は、訛りから××県出身と見破られたので好々爺を薄気味悪く思っていた。

ラブホの開業当日、義弟の名前で花輪が届く。
数日後、女房と娘の服の忘れ物が見つかる。
主人公はラブホを居抜きで売って逃げたくなるが、お篠は承知しない。開業当日から満室なのだ。

そんなある夜、ボヤが起きて主人公は怪我で入院する。
見舞いの品の中に、義弟の取り巻きの名刺を添付した物があった。
回復した主人公は、ラブホはお篠にくれてやって、小豆相場の儲けだけを握って一刻も早く逃げ出す事を決意する。

しかし銀行に行くと、改印届けと住所変更届けが出されていた。
銀行側は、
口座開設以来来ない人の顔は覚えていない、改印届けを出した福山様はちゃんと身分証を提示した、詐欺なら警察に行けばいい、
と一歩も譲らない。

呆然としたまま証券会社に向かう主人公は、途中の喫茶店で好々爺、その息子、
担当だった証券マンが愉快そうに笑い合うのを目撃し、自分が詐欺に逢ったことを知る。

数日後、主人公の溺死体が発見され、ポケットの印鑑から、身元不明の福山某として処理された。


641 名前:3/3 :2012/08/03(金) 23:22:08.16
好々爺は昔取った杵柄というやつで、詐欺師ネットワークで知った、
義弟が選挙の裏金を持ち逃げされた事件と主人公の××県訛りを結び付けた。
主人公は小豆相場の儲けを証券会社振り出しの小切手にしていたので、
どの銀行で現金化・預金化されたか、証券マンを詐欺に取り込めば筒抜け。
あとは義弟と取り巻きの名前を出して追い込めばいい。

女房と娘の服は、好々爺が旅行者のふりをして食堂を訪れ、買い取った。
「こんな旨い天ぷら蕎麦は、銀座でも食えないぜ。ご亭主が作りなさるのかね」
「えっ、おかみさんが全部作りなさるのか。ご亭主はいい身分だの。いや、立ち入ったことを聞いてすまん」
「ところで、物干し竿に掛かってる服を売ってもらえんかの。嫁と孫娘が、着替えがなくて難儀しとるんじゃ」


643 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/04(土) 01:21:57.18
>>641
営業担当の証券マンが、小切手の受取人を知れるはずがないけどね

 

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