ホーム » 小説 » 小説/か行 » 百済観音(曽野綾子)

381 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/30(木) 01:06:52.98
規制が解けたのでカキコ。曽野綾子の「百済観音」

埼玉のある地方に浄法寺と光徳寺という隣接した寺があった。
浄法寺は檀家との関係を長々と続け、同時に幼稚園を経営していた。
その為、浄法寺はそれなりに地域に根付き、住職(本文では浄法寺と呼ばれる)
は夫婦共々仁徳者と言われていた。

一方の光徳寺は寺の運営という物に興味がなく、寺は荒れている状態だった。
その為か、浄法寺は光徳寺に対して優越感を抱くところがあったが、
特にお互い仲が悪いというわけでもなく御近所さんとして普通に御付き合いをしていた。

そんなある日、光徳寺の寺の奥から平安時代の作と言われる観音像が見つかり、大騒ぎになる。
光徳寺はそれまでの生活が一変、寺は観光地として一気に注目されるようになって実入りがよくなる。
一方の浄法寺の住職は光徳寺からそんなものが見つかる訳がないと京都の博物館まで出かけ
光徳寺の仏像と比べてみるが、却って仏像が本物だと思い知らされてしまう。


382 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/30(木) 01:07:39.80
そこから、浄法寺は光徳寺に対して強い嫉妬心を持つが、今までの信頼を失いたくない一心から
其れを表に出す事が出来ずに苦悩するようになる。その内、浄法寺は金閣寺に火をつけた坊主の事を
思い出し、仏像を破壊すれば元の平和な生活が戻ると考えるようになってゆく。
それでも、表向きは光徳寺の仏像は郷土の誇りであり、町全体で支えていくべきだと取材に答えたり
地元の名士の顔を崩さない様にするが、だんだん我慢が効かなくなってくる。

ある夜、我慢の限界に達した浄法寺は光徳寺に忍び込み、観音像のある御堂に忍び込んで
灯油をまき、火を放つ。浄法寺はこれで又平和な日々が戻ると思いつつ寺を出るが、
その時、自分が信仰している仏に火をつけたことの重大さを思い出す。
何とかして観音像を救うために燃え盛る御堂に戻って観音像を取り出した浄法寺は
大やけどを負ってその後死んでしまう。

然し、燃え尽きた観音像の中からは純金でできた小さな阿弥陀像が出てくるのであった。

人間、簡単な事から破滅していくんだなーと痛感した話。
結局あの純金の仏像はどうなるんだろーと思うとやり切れない。


385 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/30(木) 01:55:03.54
>>381-382
僧侶とか聖職者は煩悩を脱却していると思っているのに
実は非常に生臭いところが後味悪いね。

407 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/30(木) 22:22:56.97
>>385
過去スレにもあったよね
後継ぎがいない寺に高校教師で独学で仏門を学んだ人が入る事になり
最初は喜んでいた住職がその教師がとった僧侶の資格が自分より高い位だったのに嫉妬して
後継ぎ話は解消・檀家は大弱り、って話。

自分も最近立て続けに住職や寺育ちの人の一般人よりひでーよな事例にぶち当たりまくっていて
特定の職業や育ちだからって過信できないもんだと改めて思ったよ。


424 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/31(金) 20:15:39.88
>>382
面白い。後味は悪くないかな~
仁徳者と思われている俗物が、おのれの内の真なる信仰を見出して
命をかけたわけで、ある意味仏教の本願を成就してると思う。
菩薩(修行中)像から如来(悟った)像が出てきたラストもそれを象徴してる。

657 名前:本当にあった怖い名無し :2012/09/08(土) 10:55:43.69
>>385
自分はむしろ「人徳者ぶっていた生臭さ坊主」にも
最後に仏像を救おうとする信仰心が残っていたというところに救われるものを感じた
金の仏像も嫉妬に狂った僧の中にも残ってる良心の象徴のようだし

 

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