ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その133 » まつざきあけみの短編

398 名前:1/2 :2012/08/30(木) 12:24:41.02
まつざきあけみの短編。名前は適当。

昭和30年代の山村に、両親を亡くした令嬢の麗奈が住んでいた。
麗奈は、亡父が女中に産ませた、異母姉の心優しいトラ子を虐待していた。
来客(友達)に出した果物に傷があれば、声高に罵倒して器ごと投げつけ、
片付けるトラ子の手をわざと踏み付けたこともある。
ちなみにトラ子の母は美人だったが、トラ子はデブスである。
麗奈は美少女である。

トラ子は、彼女のような私生児の養護施設を作る夢のために、給料の大半を貯金していた。
麗奈はその夢も罵倒する。

ところで麗奈の遠縁に貧乏な医大生の美青年、昌夫がいて、麗奈宅をよく訪れていた。
優しいトラ子は、
昌夫さんと麗奈ちゃんが結婚すればいい、麗奈ちゃんもきっと昌夫さんが好きに違いない。
昌夫さんにもっと度々来てもらわなくては。
と一人合点し、昌夫に
「知り合いのツテで高価な医学書が半額で買える」
と持ち掛ける。
昌夫から本のリストと代金の半額を受け取り、次回の訪問までに買っておくのだが、
ツテ云々は勿論嘘、差額はトラ子が貯金を崩して払っているのだ。

ある日、麗奈が心臓発作を起こす。
トラ子は必死に看病し、水垢離までする。


399 名前:2/2 :2012/08/30(木) 12:27:33.39
快復した麗奈は別人のようになり、トラ子を姉と呼んで今までの仕打ちを泣いて詫びる。
そして、弁護士を呼んで遺言書を書き換え、トラ子に全財産を遺すようにした、と告げる。
麗奈とトラ子は親友のように、養護施設を作る夢を話し合うのだった。

発作から一ヶ月もたたずに、麗奈はまた発作を起こす。
トラ子は介抱しかけるが、ふと悪い心が芽生えて見殺しにしてしまう。

翌朝、冷たくなった麗奈に取り縋って泣くトラ子は、弁護士の到着を待つのだった。しかし…

前回の発作から一ヶ月以内に死んだ場合には全財産を社会福祉に寄付する。
一ヶ月以上経って死んだ場合には、全財産を異母姉トラ子に相続させる。
麗奈は遺言書を、少しばかり意地悪に書き換えていた。

麗奈に好意を持っている、とトラ子が一人合点した昌夫は、婚約者を連れて葬儀に訪れた。
「このたびはご愁傷様でした。それはそうと、次はこのリストをお願いします」
「トラ子さんのおかげで勉強がはかどります、恩に着ますよ」
トラ子はすでに貯金を使い切っていた。

『いつまでボケこいてんだよこのタコ!』
トラ子の耳には、蝉時雨が麗奈の嘲笑に聞こえた。
トラ子は庭に立ち尽くすのだった。


400 名前:399 :2012/08/30(木) 12:32:00.52
書き忘れ。
トラ子は、麗奈父の生前は麗奈と分け隔てなく育てられていた。
父の死後は女中に格下げ。
麗奈と昌夫が互いに好意を持っていたかどうか、昌夫が婚約者と二股かけていたかどうかは、作中でも不明。

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