ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その134 » 不思議な少年/第9話「リチャード・ウィルソン卿とグラハム・ベッカー」(山下和美)

317 名前:本当にあった怖い名無し :2012/10/07(日) 07:52:07.31
ネタ切れしてた+仕事忙しくて長い間ネットしてなかったけど、久々に来たから投下

公爵とか人魚とか読んで思い出した、前に読んだ漫画。うろ覚え
けっこう綺麗な話でもあったような気するんだけど、細部とか台詞を覚えてないから再現できん。ごめん

時代は北極探索とかの初期頃?(二百年くらい前?)

イギリスの北極探索船が大破し、船に乗っていた船長と船員達は北極で遭難してしまう
北極の過酷な環境によって船員達は次々と命を落としていき、
彼らは死の間際に「セイレーン(女の姿をし、人を惑わせて死に追いやる、神話上の怪物)の姿が見える」と口々に語る
生き残っているのは、貴族である船長と、貧しい密航者の二人だけになった

やがて船長の目にも美しいセイレーンの姿が見えるようになり、死に怯え、精神的に追い詰められていく
セイレーンは事ある毎に船長の前に現れ、語りかけてくるようになる

船長は高熱を出し、密航者によって看病される
熱で朦朧とした意識の中、船長は今まで忘れていた(故意に封印していた?)少年時代の記憶を
少しずつ取り戻していくことになる

船長は少年時代、一人の素行の悪い浮浪者を殺した事があった
浮浪者の顔を思い出した船長は
「密航者はあの浮浪者の実の息子であり、復讐のために船に密航していたのではないか?」という考えに取り付かれる

半年以上の時が経っち、二人は海に浮ぶ氷盤とボートを行き来しながら生活していた
その間、密航者は献身的に船長を介護し、何度も船長の命を救った
それでも船長の抱く密告者への疑惑が晴れることは無かった


318 名前:本当にあった怖い名無し :2012/10/07(日) 07:53:33.04
ある時、氷盤を失った二人はボートで海をさ迷っていた
船長は今にも沈むかもしれないボートの上で重い荷物を捨てながら、
もうボートが一人分の体重にしか耐えられない、と感じる
密航者は必死にボートを漕ぎながら「最後まで捨てずに残す所持品は何か?」と船長に問う
船長は「日記」と答える。帰還したら出版し、英雄に成るつもりでいた
船長は「今まで散々船員達を見捨ててきた。ここで密航者を捨ててでも生き残る」と開き直った決心をする

船長は、密かに密航者の背に拳銃の銃口を向ける
そして、密航者が復讐者であるという確証を得るため、
「最後まで捨てずに残す所持品は何か?」という質問を密告者に返す
密航者は答える「残すような所持品は無ありません。強いて残すなら、船長を最後まで残します」
船長は顔を両手で覆い、声をあげずに泣いた
一部始終を見ていたセイレーンの「密航者を捨てないのか?」という問いに、
船長は憑き物の落ちた様な澄んだ表情で答える
「死んでも捨てない」
今まで様々な人間の生死を見てきたセイレーンだったが、二人の美しさに感動し、圧倒される

月日が経ち、二人はようやく救助船に発見される
セイレーンが船長にお別れを言い、船長も朗らかにそれに答える
次の瞬間、船長は密航者によって殺害され、日記と共に海に沈められる
船長が考えていたとおり、密航者は浮浪者の息子であり、復讐のために船に乗っていた

セイレーンが千切れた日記のページを海面から拾い上げ、悲しそうに膝を抱えて蹲って終わり

 

不思議な少年(3) (モーニングKC (998))
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