ホーム » 小説 » その他書籍 » 火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者/最後のヒッピー(オリヴァー・サックス)

153 名前:1/2 :2012/11/10(土) 22:52:07.02
オリヴァー・サックスの医学エッセイ「火星の人類学者」から、「最後のヒッピー」

昔々、ヒッピー・ムーブメントの時代に、金持ちの息子が新興宗教まがいのヒッピー・コミュニティに入った。
彼は脳腫瘍で失明し、下肢の麻痺と記憶障害をも患ったが、コミュニティの連中は
「視力と引き換えに新しいステージに進んだ」
と祝って治療を受けさせなかった。
脳腫瘍を放置したせいで性格が変わったので、本人も単純に喜ぶだけ。

記憶障害は、1970年以降の記憶が保持できない、一日前の事も覚えていられないという症状。
性格は明るく軽快…を通り越して、物事を深く考えられず駄洒落を言ってケラケラ笑うだけ。
(ただしいつもニコニコしているので、不快感は与えない)


154 名前:2/2 :2012/11/10(土) 22:53:37.56
彼はグレイトフル・デッドのファンだった。
筆者は、彼をマジソン・スクエア・ガーデンでのライブに連れて行った。
彼は70年以降の曲に戸惑ったが、ライブを楽しみ、今日は最良の一日!一生忘れない!と感激した。

翌日、筆者がグレイトフル・デッドの話題を持ちかけると…
「素晴らしいミュージシャンだよ。セントラルパークのライブに行ったことがあるんだ」
「マジソン・スクエア・ガーデン?いいや、行ったことなんかないね」

コミュニティから捨てられて療養所に入った息子と面会した父親が、
「息子はあらゆる意味で変わりました。前頭葉なんかない方がいいのかもしれませんな」
と語るシーン、
後日、父親が死んだことを伝えられて黙りこみ、翌日から不眠を訴え、父親の話題を拒否するシーンが切ない。

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
火星の人類学者
脳神経科医と7人の奇妙な患者
(ハヤカワ文庫NF)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...