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都筑道夫「悪魔はあくまで悪魔である」野生時代1974年9月号

安サラリーマンの太郎のアパートに、同じく安サラリーマンの次郎が訪ねて来た。
悪魔に貰ったという高級ブランド服を着ている。
映画館で悪魔に
「久しぶりに来日したから、しばらくの間は騙しなしでお客様本意の契約を大サービスする」
と持ち掛けられたそうだ。
次郎は一つ目の願いをブランド服にして、あと二つは保留にした。
相手は悪魔だ、「使いきれない程の現金」を願ったら、
ジンバブエドルを抱えて裸で月面に放り出されるかもしれない。
SFとホラーに詳しい太郎と相談して、次郎の願いは
・犯罪や政治のからまない、すなわち不道徳な背景のない安心して使える現金を一億円
・目立たない程度に頭を良くしてもらう
この二つになった。


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翌日もアパートを訪ねた次郎と話していると、中年男性の姿をした悪魔が現れた。
太郎の願いは
・不道徳な背景のない、安心して使える現金を二億円
・それだけで一生食べてゆけるだけのギャンブルの才能
・片想いの女を振り向かせる

太郎が言い終わらぬうちに、札束があふれ、頭がすっきりし、ドアにノックの音がした。
太郎が片想いしている女性が、どうしても相談したい事があって…と押し掛けて来たのだ。
「お客様のようだから我々はおいとましようか。じゃ、”書類”は鞄に戻しておいたから」

女と入れ違いに部屋を出た次郎と悪魔は…
「あんなんでいいんですか?」
初めてにしちゃ上出来だ。あんたには才能がある。
「太郎はどうなります?」
あの女はヒモのために会社の金を横領したんだ。
太郎は金を出してやってヒモと手を切らせる。
ヒモだって黙っちゃいない、太郎を殺すだろうよ。
「太郎のやつ、金も女も楽しめるのはあと数日か。ワクワクして来ましたよ」
…しかしあんたも変わってるね、なんにもいらない、
ただ悪魔にしてくれ、なんて願いは初めてだ。物好きな奴だよ。


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