ホーム » 小説 » 小説/や行 » ユーヴォラン王の船旅(クラーク・アシュトン・スミス)

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C・A・スミス「ユーヴォラン王の船旅」1933年

ウステイムの王の王冠は、美しい宝冠をガゾルバ鳥の剥製が鷲掴みにしたものだった。
ガゾルバ鳥は九代前から宝冠を飾り、王権と分かちがたく結び付いていた。
美しいガゾルバ鳥は、とある水夫がはるか東方の島で
最後の一羽を殺してウステイムにもたらしたものと伝えられていた。

ある朝、死刑執行人と拷問吏を従えて裁きの広間に座る王の前に、
汚ならしい妖術師が引き出された。
妖術師が王に人差し指を突き付けて呪文を叫ぶと、
剥製のガゾルバ鳥は羽ばたいて宝冠を掴んだまま飛び去った。
妖術師もいつの間にか消えていた。
王は神殿で
「東方の島々にガゾルバ鳥の行方をたずねよ。
汝は再び汝の生ける鳥を見出だすであろう。自らの手で鳥を殺せ」
という神託を得た。

入港した船から、宝冠を掴んだガゾルバ鳥が頭上高くを東へ飛び去ったと聞いた王は、
15隻のガレー船を率いて出帆した。
文明人の島でも未開人の島でもガゾルバ鳥の目撃情報はなかった。
数多くの島でドードー鳥やエピオルニスを狩り、フラミンゴの島を通過した。


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吸血鬼の襲撃で、船団は4隻に減った。
ロック鳥の羽毛のマントを背後に長く引いた人々の島を過ぎたある日、船団は嵐に遇った。
王は一人、とある島に漂着した。

島には泉が湧き、花が咲き乱れ、無数のガゾルバ鳥が飛び交っていた。
石で一羽を殺した王に、ボロボロの衣をまとい
帽子がわりにガゾルバ鳥の皮と羽根を被った男が現れた。
男はガゾルバ鳥の死体を二羽ぶら下げていた。
ウステイムの王以外身に帯びてはならぬ神聖なガゾルバ鳥をよくも殺したな、
と詰め寄る王に、男はしばらく笑い転げた。

商船の船長だったという男は笑ったことを詫びて語った。

九年前に難破してから誰とも口を利いていない、この島は航路から外れているからだ。
鳥を殺すのは腹が減ったから、鳥の皮と羽根を被るのはトルコ帽をなくしたからだ。
私の方が力があり、武器も持っている。貴殿には貴殿が狩った鳥の焼き方を教えて進ぜよう。

神託にひそんでいた皮肉に気づいた王は、船長に従った。
彼らは島を分けあい、ガゾルバ鳥を食った。
滅多にない事だが、彼らの国ではありふれた鳥が飛来すれば、大のご馳走になった。
王はガゾルバ鳥の皮と羽根で、船長と同じような帽子を作った。
死ぬまで、これが二人の装いであった。完。

 

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