ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その136 » うらめしや/第5話「化け物屋敷」(魔木子)

715うらめしや 1/4:2013/01/08(火) 21:27:24.69
『うらめしや』(魔木子)より『化け物屋敷』

ジャンルとしてはレディコミ、基本は一話完結のシリーズ連載です。

強い霊能力をもつゆえに実の親にすら疎んじられ辛い人生を歩んできたお妖と
やはり身寄りもなくさびしい身の上の佐治がちょいちょい喧嘩しつつも寄り添い愛し合い生きている。
(喧嘩の原因のほとんどはお妖のツンデレw)

※お妖と佐治以外の名前はうろ覚えなので(仮)です。すみません。

ある日江戸の街を歩いていたお妖と佐治は、見世物小屋(化け物小屋)に出くわす。
俺はお妖につきあって化け物は見慣れてるから、作り物なんてどうってことないさとうそぶく佐治だが、
「面白くなかったらお代はけっこう!」
と呼び込みの少女にまんまとのせられてその小屋に入る。
リアルな化け物の群れに思わず悲鳴をあげる佐治。小屋の出口で少女に
「お兄さん、だいぶお楽しみでしたねw」
とからかわれ、しぶしぶお代を払うのだった。
「いやーよくできた作り物だったな!」
という佐治にお妖が一言。
「…いや、あいつらみんな『本物』だったよ。」
思わずへなへなと腰を抜かす佐治であった。


716うらめしや 2/4:2013/01/08(火) 21:30:04.00
そこへやってきた中年の夫婦が呼び込みの少女に「お梅!」と呼びかける。
きょとんとする娘に夫婦はなおも
「ああ、やっぱりこの首筋の花びらの形の痣が何よりの証拠、
 これが名前の由来なのだから。ずっと探していたんだよ。」
夫婦の娘は幼いころにかどわかしにあったのだが、見世物小屋に同じ痣をもつ同じ年頃の娘がいて
「お梅」と呼ばれていると知らせてくれた人がいて駆け付けたのだった。
同じ痣、同じ年頃、同じ名前、わが娘に間違いないと盛り上がる夫婦だが娘は
「あんたたちなんて知らない!」
と拒む。騒ぎを聞きつけて見世物小屋から座長らが出てくる。(フツーの人間に見える。)
これは私どもの妹ですと言い張る座長。ではお上に訴える、と強気に出る夫婦。
不穏に光る座長の目に佐治が息をのんだ瞬間、お妖が割ってはいる。
「まあまあ突然言われてもお嬢さんもおこまりでしょう、後日仕切り直しでいかがです?」
まあいいだろうと引き下がった座長はお梅を連れて小屋に引っ込む。
なぜ邪魔をするといきり立つ夫婦に、お妖は彼らが人間ではないことを説明するが、夫婦には信じられない。
「まあいいでしょう、あたしがお役に立てそうならその時はまた声をかけてくださいな。」
と言い置いてお妖は佐治を連れて帰る。

その日の夜もだいぶ更けてから、夫婦がお妖と佐治の長屋を尋ねてくる。
夫婦は密かに見世物小屋が店じまいしてから一座の後をつけたという。
一行は荒れ寺に入った。お梅が一座のものに声をかける。
「金也兄さんも、お銀姉さんも、ばあちゃんもお疲れ様、楽な姿におなりよ。」
一座はみな化け物の姿になった。
これだけでも衝撃なのに、彼らは墓から堀り出したらしい若い娘の死肉を貪り食ったという。
救いは、お梅自身は私は肉は嫌いといって食べていなかったことだ。


717 うらめしや 3/4:2013/01/08(火) 21:32:06.25
お妖は、正体を勘付かれた以上、化け物たちが早々に江戸を立ち去るだろうと見て罠を張り、お梅の奪還に成功する。
夫婦が泣いて喜ぶ一方、お梅は「家族」と引き離されて悲嘆にくれる。
夫婦に感謝されたんまりと礼金をもらったお妖だが、事があまりにもあっけなく済んだことをいぶかしく思う。
お妖が見たところ、みな大して力のある妖怪ではなさそうではあったが、それにしても手ごたえがなさすぎた。
まるで化け物たちはすすんでお梅を手放したようであった。
化け物たちの思惑をはかりかねたお妖はしばらく夫婦とお梅から目を離さずにいようと思った。

しかし、化け物たちには剣呑な思惑などなく、お梅の幸せを思って親元に帰すことを決めたのだった。
食らうつもりでさらったものの、屈託のない笑顔をむけるお梅につい情がうつり、「妹」と言い含めて育ててきた。
だが、本当にこのままでいいのかずっと考えていた、お梅は人間の世界に帰してやるべきではないのかと。
実の親に探し当てられた今がいい潮時だと思ったのだ-
「金也兄さん」と呼ばれていた化け物(こいつがリーダーっぽい)は他の化け物たちにそう話した。

しばらく時がすぎ、お妖と佐治はあの夫婦が
お梅を大店の息子だがあまり評判の良くない男との縁談をまとめたことを知る。
毎日「兄さん」たちのところに帰してくれと泣き暮らし
自分たちに馴染もうとしないお梅に夫婦は冷淡になっていた。
訪ねていったお妖たちに「実の娘なら孝行してもらわないとねえ」と言い放つ。
「ねえ佐治…お梅ちゃんにとってはこの家こそが化け物屋敷なのかもしれないねえ。」
そう嘆息するとお妖は、夫婦に頼まれて家の周囲に貼った魔よけの札を剥がす。


718 うらめしや 4/4:2013/01/08(火) 21:33:18.68
お梅が実親の元で幸せにはなっていないことを知った金也たち化け物一味は
お梅の祝言の夜、本性の姿でお梅を取り戻しに来る。
震え上がる両親と花婿をよそにお梅も兄・姉の腕に飛び込むのだった。
花嫁姿のお梅を抱えて宙を駆けていく一行を見送り、お妖は言う。
「ごらん、佐治、本当の愛情で結ばれた家族が行くよ…」

お妖は常々
「あたしは人間より化け物の方に肩入れしちまうのさ。」と言っている
女なので、お妖に任せたらこの結論になるだろうけど、でもなあ…ともやもやしていた。
でも、この話が
「密猟されてペットになったオランウータンやチンパンジーがなまじ知能が高いために自分を人間と思い込み、
 そうなると野生に返すのは難しい」
という話の裏焼きバージョンなのだと気づいたらよけい後味が悪くなった。


719 本当にあった怖い名無し:2013/01/08(火) 21:42:52.62
うーん、普通にいい話だと思った。
もし仮にお梅が攫われずその両親の元で育っていても同じように
家の道具にされていただろうから。
今なら毒親の概念も広く知れ渡っているしなおさらハッピーエンドに見える。

746 本当にあった怖い名無し:2013/01/09(水) 07:11:53.99
>>719
でも、化け物たちが手を出さなければ親子が引き離されることもなく、
溝が生まれることもなかったかもしれないわけで、そこを棚上げにして
いい話風にされてもなあとは思うね。
結果的に大事に育てたとはいっても、動機は食うためだしw

 

うらめしや 2 (ジュールコミックス)
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