ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その138 » うらめしや/第19話「絵姿の美女」(魔木子)

788本当にあった怖い名無し:2013/03/28(木) 20:05:55.15
魔木子「うらめしや」より「絵姿の美女」

主人公のお妖は強い霊能力の持ち主で、その力で怪事件を解決するため
「『うらめしや』のお妖」と呼ばれ、一方で人々に頼りにされながらも不気味だと忌み嫌われている。
彼女は神仏の力を借りて除霊などを行うが、神仏が彼女に依頼をすることもある。
また、彼女の情夫(後に正式に夫)の佐治はまったく霊能力はないものの、
その優しい心根でお妖や依頼者の心を救うことがある。

お妖に茶葉問屋の岩代屋庄兵衛から依頼が来た。
一人息子の弥一郎は放蕩者だったが、
ある日見古道具屋で見つけた絵の中の美女に恋患いをして引きこもっているのだと言う。
魔性の絵に違いないと庄兵衛はいうが、
お妖は絵の中の美女を実体化させる方法を弥一郎に教えてやる。
その方法とは100日の間誰にも会わず、絵に語りかける事だった。
岩代屋では文殊菩薩を信仰しており、お妖は文殊菩薩からの指示を受けたのだと言う。

弥一郎は見事100日の試練に耐え抜き、絵の美女は本物の人間として顕現した。
美女は「おりょう」と名乗り、
「自分を疑わないこと、お前は何者だと問わないこと」を条件に弥一郎の妻となった。
おりょうは大変に良くできた女性で、
弥一郎も心を入れ替えて働きだし、岩代屋はますます繁盛した。
幸せの絶頂だった岩代屋だが、庄兵衛が突然病に倒れ、亡くなった。
嘆き悲しむ弥一郎に、おりょうは極楽の話をまるで見て来たかのように語り、
庄兵衛の魂はそこへ召されたのだと弥一郎を慰めた。

だが庄兵衛が亡くなったことを聞いたお妖は、佐治に
「文殊菩薩はまだ二人が結ばれることを認めていない」と語り、
「面倒をおしつけられた」と愚痴をこぼした。

半月後、お妖と佐治は岩代屋を訪ねた。
お妖は弥一郎に「おりょうに怪しいことはないか」と尋ねる。
お妖は西洋の鳥の化物(ハーピー)の話をし、
庄兵衛が死んだのはおりょうが精気を吸い取ったせいだと言った。
そしておりょうから気配を隠せるお札を弥一郎に渡した。


789本当にあった怖い名無し:2013/03/28(木) 20:07:28.48
お妖の話を訝る佐治に、お妖は
「弥一郎はあの札を受け取ってはいけなかった、自分よりおりょうを信じなくてはならなかったのに」
と辛そうな顔をした。

気配を隠した弥一郎が見たおりょうは、不思議な力を使っていた。
弥一郎の不安を見抜いたおりょうは「信じてくれ」と念を押すが、
それが弥一郎にはますます不気味に思えてしまった。
そしてある日、弥一郎はみてしまった。おりょうの背に翼が現れ、宙に浮かびあがったのを。
「お前は誰なんだ!」思わず叫んでしまった弥一郎の前に現れたのは、美しい天女・迦陵頻伽だった。

迦陵頻伽は文殊菩薩の使いで岩代屋を見守るうち、
放蕩者に見えた弥一郎が跡取りとしてのプレッシャーで荒れていた、その繊細さに気付いた。
弥一郎を救う術を考えていた彼女の心はいつの間にか恋に変わり、
文殊菩薩に弥一郎に添わせてほしいと頼み込んだのだった。

恋と言う煩悩に捕らわれた天女に文殊菩薩は怒ったが、
弥一郎が試練を越えることができれば添い遂げさせてやろうと彼女を絵姿で下界に使わせ、
お妖をけしかけて揺さぶりをかけたのだった。
弥一郎は後悔したが、迦陵頻伽は天界に戻る、と振り返ることなく飛び去っていった。

お妖と様子を見守っていた佐治は、弥一郎は立ち直れないだろうと言い、
迦陵頻伽が天界に帰って安穏と暮らすのは不公平ではないかという。
しかし、お妖は迦陵頻伽も長くは生きられないと答えた。
賭けに失敗した時は彼女も命を失う覚悟であったろうと。
そして天人の最期である天人五衰の醜い姿を好きな男に見られたくはなかったのだろう、
彼女は1人ひっそり死ぬ気であろうと。

弥一郎はやはりおりょうを失った後悔と悲しみから立ち直ることができず、
店を閉じて引きこもり、おりょうが抜け出たあとの掛け軸に語りかける日々が続いた。
そしてそのまま衰弱死してしまうのだった。

岩代屋の親族は「気味が悪い」と弥一郎が最後に抱えていた二つの掛け軸をお妖に預けて行った。
一幅は文殊菩薩の掛け軸、一幅には文殊菩薩の慈悲なのか、
寄り添う弥一郎とおりょうの姿が描きこまれていた。


790 本当にあった怖い名無し:2013/03/28(木) 20:14:51.67
1つ書き忘れた、「死ぬなら最期まで一緒にいればいいのに」と思うかもしれないけど
彼女が死ぬのは弥一郎の所為なので、
それを悟らせないために「天界に帰る」と嘘をついたのです

 

うらめしや 7 (ジュールコミックス)
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