藩医三代記(星新一)
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771:1/3:2013/03/28(木) 02:36:27.19
- 星新一「藩医三代記」
のどかな小さな藩の藩医のお話。
父。穏やかで真面目な人格者。
三人いる藩医の中で一番身分が低いが、慕われている。
医学修行のために一人息子の剣術の稽古をやめさせるが、理由をきちんと教えて納得させる。医師が節くれ立った手をしていてはありがたみがない。
タコのできた指では脈の微妙な変化がわからない。
学問に励むのは、患者に文句を言わせないよう威厳をつけるため。父は薬草を研究し、発熱と頭痛をもたらすだけの薬草と解毒剤や、
ただ苦いだけの薬草(?)を発見する真面目さを持っていた。
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772:2/3:2013/03/28(木) 02:37:40.76
- 息子(主人公)。野心を持っていたが、父を見習い謙虚にふるまう。
とある大商人に毒(発熱・頭痛の薬草)を盛っては治療するマッチポンプを繰り返し、
信頼させて娘を嫁にする。
礼金のかわりに領民向けの無料診療所を作らせ、自身と殿様と大商人の人気を高める。
診療所では薬草の人体実験に励む。殿様にも毒を盛り、治療して気に入られ出世する。
(毒を仕込んだ絵蝋燭と線香を大商人から献上させた)
(殿様は夜の読書が習慣なのでいつか使うだろう、というプロパビリティの犯罪)子供のいない殿様に側室を持つ事を勧め、自身の妻の妹を推すと偶然にも御懐妊。
神仏の加護に感謝し寺社に寄進をするよう進言し、
無料診療所のせいで賽銭が減っていた坊主や神主に感謝される。殿様のお気に入りになった主人公は、家臣の屋敷に出入りするようになった。
診療所の人体実験で開発した自白剤効果のある薬草を飲ませると、皆あれこれしゃべる。
主人公は秘密を知る事そのものが面白く、誰にも悪口や秘密をばらす事はなかった。
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773 :3/3:2013/03/28(木) 02:43:14.03
- 主人公の利発な息子。
将来を考えて長崎に留学に出されたが、西洋医学を頭に詰め込み天狗になって帰国した。
「これからの時代は科学ですよ!伝統wwまじないww御札ww」
病は気から。鰯の頭も信心から。という先人の知恵をバカにした息子は、父を古臭いと断じた。
主人公は何が起こるか見物してやろう、程度に思っておとなしく隠居した。息子は腹痛をおこした主人公を無理やり手術して死なせてしまった。
麻酔も消毒もない時代である。
家は格下げ、元の下っ端藩医に逆戻り。
若い息子は残りの人生をむなしく過ごした。悪気はないのはわかるんだが、当時の医学の常識が後味悪い。
↓
急病人にはまず食あたりかどうかを確かめ、食あたりならとにかく吐かせる。
食あたりでなければ 運 を 天 に 任 せ て 薬草を飲ませ、助かると思えば励ます。
助からないと思えば、霊験あらたかな呪文を 心 の 中 で 唱えさせる。
心の中で唱えさせるのは、声に出して唱えているのに病状が悪化したら怪しまれるから。
声に出さなければ、遺族は勝手に、気力が続かず唱えられなかった、と納得してくれる。
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774 :本当にあった怖い名無し:2013/03/28(木) 09:27:59.83
- 面白かったよ。乙。
医学の常識は、研究が進んでなかったからしょうがないよね。
いまの医学に関しても将来、「癌を消滅させるために、健康な細胞まで痛めつけるような薬品を用いていた。
胃や喉の粘膜が爛れた患者は地獄の苦しみを味わっていた。
しかも、その薬が効くかどうかは運任せ、しかも、結局患者は死ぬしかない。
医者は「僕にはもう祈ることしかできない……!」などとほざくだけ。」なんて言われちゃう時代がくるんじゃない?