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903本当にあった怖い名無し:2013/04/03(水) 13:13:21.13
乃南アサの短編集より。

主婦A子は友人B美の所に遊びに行く。
B美の旦那は一流企業のエリートマンで、高級マンションに住んでいた。
専業主婦で暇を持て余しているのか、ドアノブやクッションなど
部屋はB美の手作りのもので溢れかえっている。

「私ね、時々思うの。主人が死んでくれないかしらって」
何一つ不自由などなさそうなB美のセリフに驚くA子。
「旦那さんとうまくいってないの?」
「いってるわ。いきすぎてる程に。だからかしら?刺激がないの。主人が死んで、
 自分が悲しんでるのを想像するの。そうすることで主人にも優しく出来るのよね」
変でしょと笑うB美。


904本当にあった怖い名無し:2013/04/03(水) 13:14:31.86
夕方になり二人は揃って夕飯の買い物に行く。
高級食材を値段も見ずカゴに入れていくB美。
一円でも安いもの、特売品を必死に探すA子。

家に帰るとA子の旦那は既に帰宅しており、
寝転がってビールを飲みながら野球中継を見ていた。
ビールは自分で出せたのね関心?するA子。
「早く飯にして」
脱ぎ散らかった旦那の服を片付けながら、A子は急いで食事の用意にかかる。
「くそっ!あれ?おい、ビール無くなったぞ」
狭い台所とリビングを忙しく往復するA子。
B美が着せてくれた手作りのサマードレスが
汗でビッショリ体に貼り付く。
今頃B美は汗一つかかず、ステーキを焼き、ワインを飲んでいるのだろう。
旦那が死ぬ妄想をしながら優雅に生きていくのだろう。

A子は沸騰しているヤカンを止めてリビングへと行った。
「なんだ?暑いぞ」
旦那は寝転がったまま背後に立つA子に文句を言う。
死んで欲しいなんて、思わないわ。
「おい!聞こえてるのか!」
いつも、殺してやりたいと思ってる。
暑さでボウッとしたA子は、手にしたヤカンをゆっくりと傾けた。


911 本当にあった怖い名無し:2013/04/03(水) 18:59:34.57
>>903
あー思い出した。うまくいかない夫婦がテーマの短編をまとめたっぽい文庫だっけ。
閉塞感で(‘A`)こんな顔になった思い出が甦った。乙。

 

花盗人 (新潮文庫)
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