魔木子のレディコミ短編

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魔木子のレディコミ短編

80年代初頭、オカルトブームに乗せられた女子中学生が、
悪魔を召喚する儀式を雑誌の通りにやって「幸せになりたい!」と願った。

翌朝彼女は友達に、
雑誌なんてやっぱりインチキ、何も起きなかった。と笑いながら告げた。
地味な友達は、
面白半分でやっちゃまずいんじゃない?
悪魔は願いを叶えるかわりに魂を奪っていくって云うし…と応じた。
彼女は、
でも、魂って何?と笑った。

時が経ち、大企業の部長を勤める父親が部下を連れてきた。
イケメンで有能で一流大卒で出自もいい彼が
礼儀正しく交際を申し込んだので、彼女は彼を受け入れた。
近いうちに結婚して郊外に小さな家を建て、1人か2人子供を持つ将来。
彼女はふと、中学時代に「幸せになりたい!」と願った事を思い出した。
(これが幸せって事なのかしら…みんなと同じ生活)

交際が順調に続いたある夜、彼女は彼と行きつけのバーで待ち合わせた。
すると隣に中性的な美青年が座って無言で彼女の太腿をまさぐり始めた。
(彼女にしか見えていないのが、バーテンの反応からわかる)
彼女は事を荒立てまいと、「体調が悪くなった」と言い訳して出ていった。


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外に出た彼女はヤクザとぶつかった。
顔をあげると、ヤクザの姿が先程の美青年に変わった(ように見えた)

場面変わってラブホの一室。
彼女はヤクザに抱かれて嬌声をあげている。
ヤクザのセリフによると、彼女の方から抱いてくれとせがんできたようだ。

数週間後、彼女はソープ嬢になっていた。
居所を突き止めた彼を拒絶し、愛人のヤクザにフルボッコにさせる。
数ヵ月後、愛人と腕を組んで歩く彼女。
「今月もおめェがNo.1だ、ヴィトンでも買ってやろうか」
「別に…」
「まったく変わった女だ、チ○ポハメてりゃ幸せなんだから」

そこへ彼が現れた。
彼女の母親は心労で倒れ、父親は同じく心労で辞職したそうだ。
彼女はまったくの無表情で無視した。
二人を追いかけようとした彼は、車に跳ねられて死んだ。

元婚約者が目の前で死んでも表情を動かさない彼女に、
さすがに愛人も驚くが、彼女は
「別に…今さら関係ないわ」と言うだけ。

“悪魔って願いを叶えるかわりに魂を奪っていくんでしょ?"
“でも魂って何?"
“わかんないけど、その人の大事なものとか人間らしさとか"
最後にこの、中学時代の会話が出てきてますます陰鬱。