ホーム » 小説 » 小説/は行 » ファルンの鉱山(E.T.A. ホフマン)

396本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:29:30.04
「黄金の壺」など不思議な世界観が人気で、幻想怪奇作家として知られる
ホフマンの短編「ファルーン鉱山」はどうだろう。

船乗りの祭りで、楽しむ人たちを尻目にベンチに座り込み、
一人沈んだ表情をするエーリス・フレイボム。
彼は父親を早くに亡くし、母親とふたり暮らしの親孝行な船員だった。
しかし、今回長い航海から家に帰ると、母親は病気で亡くなり、
家財道具は全部教会に寄付されてしまい、家には別の家族が住んでいた。

そんな彼に、ふと一人の老人が近づいてきた。
エーリスの話を聞いた彼は、生き方を変えるために
「ファルーン鉱山へ行って鉱夫になれ」という。


397本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:31:26.84
今まで自由な海にいたのに、地下に潜って鉱石を掘るなんて!と言うエーリスに、
鉱山の素晴らしさをとくとくと語る老人。
はじめはその気はなかったが、思い立ってファルーン鉱山へ向かったエーリスは、
成り行きで鉱夫になる。

やがて、鉱山の経営者であるベールソン・ダールスィエに認められるが、
ある日、一人で掘っていると港で出会った老人が現れた。
「この付近にはいい鉱脈があるが、お前には見つからないだろう」
「お前とダールスィエの娘のウラは愛し合っているが、結婚することは永遠にない」
不吉な予言に真っ青になって地上に戻ったエーリスを出迎えるダールスィエ。
彼は、「君が出会ったのは百年ほど前の鉱夫、トルベルンの幽霊に違いない」と教える。


398 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:33:39.21
トルベルンは、鉱脈を掘り当てるのが上手い男だった。
食事も一人で、鉱道の中で作って食べていた。
気むずかしい性格で、「あいつは山の神と金属を煮ているのだ」
とまわりの鉱夫は彼を嫌い、あざ笑った。

彼はいつもぴたりと鉱脈を言い当てたが、あるとき言わなくなった。
当時の経営者は不審に思い、トルベルンを問いただした。
「この鉱山にはもう何もないのか」
「いいえ、まだまだ…掘り尽くせないほどございます。
 しかしこれ以上掘ってはなりません。神の怒りに触れてしまいます…」

しかし、欲に眼がくらんだ経営者は
嫌がるトルベルンから無理矢理鉱脈の場所を聞き出し、掘り始めた。
その結果大規模な落盤事故がおきて、経営者と鉱夫たちは死んだ。
もちろんトルベルンも…


399 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:35:38.33
やがて経営者が変わり、再びファルーン鉱山が開かれた。
それが今のベールソンだ。
今でも、トルベルンが当時の経営者に恨みを言いながら歩いているのを見た鉱夫や、
彼に鉱脈を教えられ、そのとおりに掘ったらたくさんの宝石を掘り当てた鉱夫がいるという。
トルベルンの事故をきっかけにして始まったのが、
年に一度、鉱夫をねぎらい鉱山の神に祈る鉱山祭だ。

月日が経ち、ウラと婚約したエーリス。
そんなある日、またトルベルンの声が聞こえてきた。

「お前たちは結婚できないぞ。お前は鉱山の女神のものだ、絶対に結婚できない」
エーリスはトルベルンに、もう自分につきまとうなと怒鳴る。
すると彼は素直に従い、祝福のために素晴らしい宝石をやるから、
結婚式の直前にここに来い、と告げる。


400 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:38:36.03
エーリスは彼の言うとおり、結婚式の日に晴れ着のままやってきた。
果たして鉱脈はあった。トルベルンの言ったとおりに。
カツンッとつるはしをあてたエーリス。

すると、美しく輝く鉱脈は、木材に変わった。
彼が鉱脈と思いつるはしを当てたのは、鉱道を支える木だったのだ。
あっという間に鉱山は崩れ、エーリスはその中に、
美しく輝く宝石の中に立ち上がる鉱山の女神を見た。
彼女は妖しいほほ笑みを浮かべ、エーリスを手招きした…

一方、ベールソンは落盤事故の様子を見て
「ああよかった、今日は休日だから鉱夫はいない」
と胸をなでおろしていた。
「いいえお父さん!エーリスが入っていったのよ!わたしのエーリスが死んでしまった!」
泣き崩れるウラの言葉が終わらないうちに、ベールソンと鉱夫たちが現場へ走った。

しかし、もうもうとたちこめる煙と崩れた入り口から、中に入れるものはいなかった。
エーリス・フレイボムの遺体はついに見つからなかった。


401 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:41:50.09
50年後。
鉱山はまた新しく開かれていた。
当時の経営者のベールソン・ダールスイェはとうに死に、
ウラもどこかへ行ってしまっていた。

記念すべき鉱山祭の日、鉱山の中から若い男性の遺体が見つかった。
晴れ着に花を刺した彼は、頬の色は失っていたものの、
たった今まで生きていたかのようだった。

「どうしてあんなところで死んでいたんだろう」
「たぶん、50年前の落盤事故の死体だろうか」
「それにしても、不思議だな。どうして化石みたいになってるんだろうな」

その時、ふらふらと杖をついた老婆がやってきた。
「あ!鉱山祭の女がまた来たよ」
彼女はいつも鉱山祭の日に来て、
落盤事故の現場を見ては、悲しそうに去っていくのだった。


402 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 21:45:08.45
老婆は若者の化石になった遺体を見つけると、
「おう!わたしのエーリス!」と駆け寄った。
老婆は、年老いたウラ・ダールスィエだった。

「エーリス!わたしの花婿!やっと会えましたね。
 あの事故のあと、私はトルベルン老人に会いました。
 いつか、鉱山祭の日に、お前の花婿に再び会えるだろうと言われました。
 そのために毎年来ていたのです!
 やっと会えましたね、もう絶対に離しはしませんよ。わたしのエーリス!」
ウラはエーリスの死体にすがりついて泣き叫んだ。
彼女の姿に、周りで見ていた群衆からもすすり泣きが漏れた。

彼女の手をとって起こそうと皆が近づくと、ウラはエーリスに抱きついて息絶えていた。
不思議なことに、その瞬間エーリスの死体は灰になって吹き飛んでしまった。
かわいそうに思ったファルーンの人々は、
50年前、二人が結婚式を上げるはずだった教会に、
哀れなウラの遺体とエーリスの灰を、手厚く葬った。


403 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 22:10:30.33
>>402
ウラちゃんずっと主人公に操立ててたのか
炭鉱経営者の娘なんだから裕福で結婚相手も引く手数多だろうに泣かせるな

404 本当にあった怖い名無し:2013/09/04(水) 22:18:33.54
で、どの辺が後味悪いんです?

 

怪奇・幻想・綺想文学集: 種村季弘翻訳集成
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鉱物 (書物の王国)
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