入江の記憶(松本清張)

4951/3:2013/09/07(土) 11:54:52.34
松本清張の初期の短編

「私」は義妹と不倫中。
不倫旅行で温泉地に出掛け、人目を避けるようにわざと寂れた旅館に泊まった。
義妹は「お姉さま(妻)に悪いワ…」としおらしくしているが、罪悪感が媚薬になっているようだ。
顔を隠すように帽子を目深に被った「私」は、宿帳の記入も女中との応対も義妹に任せている。
安っぽい部屋に入った「私」は、子供時代の事を思い出した…

…両親は場末で小さな店を出していた。
巡査と結婚した叔母(母の妹)は、夫が朝鮮半島に赴任したので「私」の家に居候していた。
ある日店が火事になり、数日前から病気で寝込んでいた叔母は逃げ遅れて死んだ。


4962/3:2013/09/07(土) 11:58:12.29
両親は警察で厳しく調べられたが、犯人不明の放火でケリがついた。
…後になって思い出してみると、叔母が寝込むようになる前に父と叔母が口喧嘩をしていて、
父が叔母を酷く殴っていた。叔母は病気ではなく、父に大怪我をさせられたのだろう。
それこそ、火事になっても逃げられないような。
火事の数日前、叔母の夫がまもなく帰国すると報せがあった。

大人になった「私」は、父は叔母と不倫していて別れ話か何かで喧嘩になって叔母に大怪我をさせた。
帰国する叔母の夫(立派な髭の、押し出しのいい大男)にばれないよう火事を出して叔母を殺した。
という結論に達した。


497 3/3:2013/09/07(土) 12:00:42.19
「私」は、嬉しそうな義妹を眺めて思った。
…今の私たちは父母と同じ事をしている…
…義妹は私を疑ってはいない…
…東京では妻が私のアリバイ工作をしているはずだ…
…帽子で顔を隠していたし手袋で指紋も残らない、大丈夫…

 

死の枝 (新潮文庫)(小説)
死の枝 (新潮文庫)