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9151/2:2013/09/16(月) 02:20:24.40
森村誠一「黙契」

主人公は、ふとしたきっかけから世間に存在する「黙契」というものに気づく
黙契とは、法律で決められたわけではないし、常識ともまた少し違う
個人間や社会の間で何となく決められた、いわゆる暗黙の了解ってやつのこと

例えば、電車やバスに乗るときに互いのパーソナルスペースを極力侵さないとか
自分と相手との間柄において、何度目のデートでどこまで行くかとか
いくらくらいまでならご馳走になっていいとか、
借金を申し込むとしたらいくらくらいまでならOKかとか、
いろいろな場面に黙契は存在し、それを破るものは厄介な奴として疎まれる

さて、主人公が働いている某企業厚生課は、花形部署でこそないが
課員は皆仲が良く、和気藹々とした職場だった
そこへ、営業畑から異動してきた係長がやってきて状況は一変する
係長は営業畑出身者らしく
「営業に直接関係ない部署でも社の利益に貢献してもらわないと困る、
 鉛筆1本節約すればそれは鉛筆1本分の利益を会社にもたらすのだ」と言い、
文具をケチったり、課員が就業時間中にトイレに立つ時間を密かに数えて
表にして張り出し「就業中に時間の無駄使いをするな」と説教したりした


9162/2:2013/09/16(月) 02:38:54.09
今まで平和だった課の中に激しい不協和音が沸き上がるが、
上司の課長は人はいいけど何もできず、係長は課員の不満などどこ吹く風
係長は仕事のうえでも非常に締め付けが厳しいうえ、性格的にも強欲で図々しく
飲み会には必ず首を突っ込むが絶対に部下には奢らない、
課のアイドル的存在の女性社員にまとわりつく…など許し難い行動が重なった

ある日の飲み会で二次会に行くまでに係長を撒こうとしたのだにかなわず
係長がついてこようとしたとき、課員たちはついに行動を起こした
会場近くの自殺の名所に係長を連れていき、主人公は係長を突き落とした
その後、酔った係長が足を滑らせて海に落ちたと課員全員が口裏を合わせた

厚生課は再び和気藹々とした部署に戻り、主人公はアイドル女性社員と婚約した
主人公とアイドル社員との婚約は厚生課における「黙契」だった…で話は終わり

ごく普通のブラックな終わり方のミステリーと言えなくもないんだけど、
一見嫌な奴、不協和音を撒き散らすだけの係長にも一理あるのはあるんだよね
主人公の課は和気藹々としていて確かに居心地は良さそうなんだけど、
営業じゃないしノルマもないからと経費節減のこともほとんど考えておらず、
タイムカードを押してからダラダラと支度したりなど
いろんなことがナアナアになっててルーズっぽくて、
その上に成り立つ居心地の良さなんだろうなと推測できる描写がいくつかある
ちなみに、アイドル女性社員は就業時間中2時間45分をトイレ休憩に費やしている
(係長のカウントで判明)
そういう部分って、回り回れば会社には不利益をもたらすわけで
係長のやり方は極端すぎてまずいにしても、考え方の一部は共感できるんだよね
黙契を振りかざして自分たちの身勝手な権利を守る課員たちもどうなのよ、と


917 本当にあった怖い名無し:2013/09/16(月) 03:28:10.95
>>916
普通に胸のすく話だなあ
その係長には「塵は積もっても山にならない」という言葉を教えてあげたい

919 本当にあった怖い名無し:2013/09/16(月) 03:53:54.49
>>916
〆の厚生課のgdgdを聞くと係長がマトモに見えるけど、
それ以外の性格面がアレだから結局どっちもどっちって感じがするな・・・
だから殺していいって話にはならんがww

920 本当にあった怖い名無し:2013/09/16(月) 04:41:33.76
>>919
まあそうなんだよね
初読時には自分も奇妙な味というか皮肉なミステリーだな、くらいの感想だった
むしろ厚生課のほうにやや同情的というか、
殺しはやっぱりいかんけど分からんでもないなと思ってたんだけど、
年いってから読み返したら何か微妙な気持ちになってさ

この話の厚生課みたいな体質の部署って
自分が身を置いてるときは具合いいけど
いざ一歩離れると、ん?ってなることが多い気がする


921 本当にあった怖い名無し:2013/09/16(月) 04:55:27.18
邪魔者を邪な方法で排除した上に成り立つ平和とか、ちょっと気持ち悪いよなとは思った
主人公とアイドル社員だって、殺人の秘密を共有することによる関係なんて
この先いつ破綻するか分からんし

まあしょせんフィクション世界の話だから、
作者が続編を書かない限りはこの先なんてものはないんだけど

 

殺人の組曲 (徳間文庫)
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