ホーム » 小説 » 小説/さ行 » 死者の手袋(曽野綾子)

423本当にあった怖い名無し:2013/09/28(土) 08:01:00.48
かなり前に読んだんで記憶が曖昧だけど、曾野綾子の短編「死者の手袋」。

主人公は家政婦。結婚を控えた娘がいる家庭に仕事に行く。
その娘は自分の部屋を整理していたが、いっこうに進まずボーッとしている。
何か思い入れのある品なのかと、そっとしておいたが
夕方になって母親が介入すると、紐で縛ってアッサリごみに出せる程度の雑誌類だった。

その後、結婚前日だか当日だかになって、亡友の母親だという人が祝いに訪ねて来る。
結婚の報せもしてなかったので両親は焦るが、ともかく結婚式は無事に済む。
新婚旅行へ出掛ける段になって、肝心の本人は「A子ちゃんの手袋は?」となんかゴソゴソ探し回っている。
(手袋は、以前貰ったのか訪問時にA母から渡されたのか忘れたけど、A子の遺品。)
家政婦も探すのを手伝って、見つかると
「これをはめているとA子に包まれているようで安心する」と、うっとり撫でながら、旅立って行った。

それからしばらく経って、新婚旅行先の新郎から両親へ電話が掛かってくる。
曰く、お嬢さんの様子がおかしい、何を話し掛けても全然要領を得ない、
予定を変更して連れて帰るので、今後の事を話し合いたい、と。


424本当にあった怖い名無し:2013/09/28(土) 08:02:05.88
娘とA子は仲の良い友達で、女子グループで一緒に旅行をしたりしていた。
山荘に行った際、皆で湖のボートに乗ることになったが、慣れない女の子ばかりで漕いだせいか
ボートは転覆し、A子が溺れ死んでしまった。
(ボートに乗ろうと提案した言いだしっぺが娘だったか、漕ぐのを失敗したのか、
 泳ぎの得意なA子が娘を助けようとして死んだか、詳細はよく覚えていないが
 A子の死の一端に娘が関わっている形だった。)

A子母はA子の死を悲しんだが、敬虔なクリスチャンで
娘を責めるようなことはせず、「A子の分まで生きてね」と何かにつけて世話を焼いてきた。
娘は、思いきり責められるよりも却ってそれが心の重荷になり、徐々にノイローゼ気味になった。
娘の変調に不安になった両親は、A母の接触を快く思わず、
遠くの土地に行って心機一転すれば解放されて元気になるだろうと、見合いをさせた。

縁談はまとまり、これで吹っ切れてうまく行くかと思っていた矢先
久々のA母の訪問で、娘は完全に精神のネジがふっ飛んでしまった。

「A母め、今日という今日は絶対に許さん!!」
温厚な父親は怒り心頭だった。

A母の善意が、図らずも復讐を果たしたのか、と家政婦は思った。
ふと日めくりカレンダーの格言を見ると、「長居する客は嫌われる」とあり
それがA母のことを指しているように思えた。(終)

 

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