闇姫さま(高橋葉介)
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244:1/3:2013/10/23(水) 21:53:13.11
- 高橋葉介「闇姫さま」
(わらわは闇の王国の姫、目を閉じればそこはわらわの王国)
(せっかくいい気持ちで押し入れで寝ておったのに、
わらわの母と称する酒場勤めの化け物が五月蝿い)
(今から寝るから出てゆけ、と申しておるが逆らうと
トンカチで殴られるから言うことを聞いてやるか)母親に虐待されている、頬に傷のある女児が夏休みの街をとぼとぼ歩いている。
(あの時は耳からはみ出た脳みそを戻すのに往生したものじゃ)
(あのトンカチはお守りがわりに首からぶら下げておるわ)
(それにしても平民どもめらはなんと醜い姿をしておるのか)
(わらわが闇の姫君だと誰も気づかぬ、愉快愉快)
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245:2/3:2013/10/23(水) 21:55:15.72
- 女児は夏休みの小学校に着いた。
(ここは確かガッコウとかいう、平民の子息どもめらが読み書きを習う施設)
(実はわらわも身分を隠してガッコウに通っておったが、大変なことになったわ)
(愚民どもめら、わらわが闇の王国の姫だと知ると
歓声をあげてわらわを追いかけ髪を引きむしるわ服を破くわ)
(家宝にでもするつもりであろう、可愛いやつらよ)
(やつら興奮しすぎてバケツの水をぶっかけるわ鉄パイプで脳天をぶちのめすわ…
わらわはガッコウに行かなくなった)女児に、同じクラスの真面目そうな男児が声をかけた。
(こいつはたしかわらわの騎士(ナイト))
「うん、僕内藤だよ。覚えてくれたんだ」
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246 :3/3:2013/10/23(水) 21:59:06.85
- 男児は女児にハンバーガーを一つ分けて、物陰に誘った。
(はんばあがあとは何ぞ?)
(公園で平民どもめらからパンを恵んでもらう貧乏ごっこにも飽いたところじゃ)
(褒美めあてにこれを献上したのか、まあよかろう)
(わらわの下着を剥いで股ぐらを見るのが褒美かえ?こら指を入れるな痛い)男児にいたずらされた女児は首からぶら下げたトンカチで男児を撲殺した。
(カラスがわらわを追いかける)
(無礼者、わらわを誰と心得る!わらわは闇姫ぞ!)
(体が動かぬ、……目を閉じれば…そこはわらわの…王…国…)警官に取り押さえられた女児は意識を失った。
もしかしたら死んだのかもしれない。終