ダブルフェイス

A＝ヤクザに長期の潜入捜査をしている警察官。
　　 その事実は警察内の直接の上司1人しか知らない
　　 また、警察官時代の彼の全てのデータは消去されているので
　　 傍目からはヤクザの若頭以外の何者でもない

B＝警察に潜入しているヤクザの手先。
　　 幼少期に親分に拾われスパイとして育てられた。
　　 それからはインテリヤクザとして大学まで出してもらって
　　 傍目からはエリート街道の優秀な警察官

前編ではAの正体を知る上司が殺されてしまいAは完全に孤立。
この捜査は上司以外の誰一人として知らない為警察官に戻る事が出来なくなってしまった。

自分の正体を知る人間も居なくなり完全に孤立したA
同時期にBにはヤクザの親分からある女性に近づけという命令が出る。
相手は大物政治家の娘。
父親に反抗し、家出して現在は自分の力でアルバイトをして生活している。
これから組を大きくしていくのには彼女の父親が邪魔なので、
娘である彼女に近づき隙を見て麻薬漬けにして、弱みを握ろうという計画。

計画通り近づくBだったが次第に本当に彼女に惹かれていく。
そして前々から持っていた疑問が大きくなり
「自分の正体を知る組長達がいなくなれば、これから先自分は
　今までどおり警察官として生きていけるのではないか」
と真剣に考えるようになる。

Aは最後の賭けに出ることにした。
上司以外で唯一正体を告げた愛する女性に
「これから最後の賭けに出る。上手くいけば警官に戻れる」と告げる。
そして組の情報を警察に流して一網打尽にする計画を立てる。
警察側もヤクザ側に内通者が居るのでは？と疑問を持っている最中だった事と、
本当に組の幹部として情報を持っているBが後押ししたこともあって
タレコミを元に一網打尽にする計画が実行される。

その中でドサクサにまぎれてBは育ての親である親分を撃ち殺す。
「今までありがとうございました」
礼を言って組長の遺体に別れを告げて、
これでこのまま警察官として新しい人生を大手を振って生きていけると思うB

そしてAも警察側に正体を明かす。
と言っても下っ端では埒も明かないし責任者クラスの人間に接近して
内通者だと明かすが、その相手はBだった

しばらくして、Ａの葬儀は小さな式場でひっそりと行われていた。
ヤクザの若頭でしかなく、組も壊滅したＡのところには当然ながら弔問客など居ない。
唯一Ａが正体を告げた女性だけが泣いている場所に現れるＢ。
Ｂに対して女性は彼は実は警察官だったの、と伝える。
「彼の正体はいつかきっと明らかにします。」
泣きながら気丈に答える女性。
去っていくＢ。

同時期にＢは愛した大物政治家の女性に
貴方が分からないと事実上の別れを告げられる。

Ｂもそして生前のＡも警察官とヤクザ、
どちらの自分が本当の自分なのか分からなくなっていた。
あまりに自分の正体を偽っていた時期が長すぎて自分自身を見失ってしまっていた。

だが突然、ガラの悪い人間がＢを取り囲む。
「あんたＢさんでしょ？話は組長から聞いてますよ。
　今日からこのシマはうちの組が仕切るので今まで通りお願いしますよ…。」
この組はＢの所属している組を取り込もうとしていた別の巨大なヤクザ組織。
そしてＢの正体も知っていた。
組長を殺したＢだが自分の正体を知る人間が居なくなった訳ではなかった。

唖然とするＢ、乗り込んだエレベーターは下っていく…
それは多くの犠牲を払ってやっと開放されたと思ったらまた突き落とされる、
自分の運命のようだった。

なんというか、やっと元に戻れると思ったＡが最後であっさり殺されたし
ＢもＢでやらかした事は大きいけど根源は「悪いことから足を洗いたい」だったし
二人が愛した女性もＡ彼女はこの先Ａの汚名を晴らす方法もどうやって？って感じだし
Ｂ彼女も結局失意のまま政治家の家に戻っていくしなんか誰一人幸せになれなかった…

女性陣はまだマシだけど汚名を被って死んだＡは本当に報われないし、
これ最後の演出が上手くて
Ｂがエレベーターに乗って下っていくＢの人生の暗示みたいで
このシーンが本当に後味が悪かった
だからと言ってこの後堂々とＢが生きて行くのも後味悪いし何かどうすれば良かったのか…
と新春スペシャルでやったドラマか何かだったので新年から暗くなった