サクラ大戦2 君、死にたもうことなかれ

「太正」という架空世界を舞台に、
プレイヤーは花組という戦闘集団（主人公以外はほぼ全員女性）の隊長となり、
隊員たちと親交を深めながら、東京やパリなどの街を脅かす敵と戦っていく
というゲームである。

このゲームに登場する敵たちは、確かに悪者なのだが、
非常に堂々としていたり、悪とはいえしっかりとした信念を持っていたりして、
どこか親しみを持てる役柄のキャラが多かった。
ちょうど「るろうに剣心」の志士雄一派のような印象といえば分かりやすいかも。
そんな中、おそらく多くのプレイヤーから嫌われたのが、
２に登場した火車という男である。

この男は炎を自在に操れるのだが、非力な市民を「ゴミ」呼ばわりし、
人や建造物を燃やして、その様を眺めながら愉悦に浸るという、
とんでもないサディスト＋ゲス野郎である。

ゲーム中でも、東京の建造物を燃やしまくり、逃げ惑う人々をも焼き殺して、
それを眺めながら高笑いをあげるという奇行を繰り返し、花組の怒りを買っていた。
そして物語途中で、火車と決着をつけることになるのだが、
その最後がまた後味悪かった。

（以下ネタバレ。なお、古いゲームなので、多少の間違いはあると思う）

「ぎゃああああああああっ！　熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いーっ！
　助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてーっ！
　焼け死ぬ焼け死ぬ焼け死ぬ焼け死ぬ焼け死ぬ焼け死ぬ焼け死ぬーっ！」

・・・と、今までてめえがやってきたことを忘れたのかとツッコミたくなる悲鳴を上げる。
当然、花組は誰も助けに行かない。それを見た火車は、花組の面々に向かって！

「てめえらあああああああああああっ！　さっさっと助けないかあああああああっ！
　人が焼け死ぬのを見てじっとしてるなんてそれでも人間かああああああああああっ！
　てめえらゴミどもに私を助けさせてやるって言ってるんだぞおおおおおおおおおっ！
　さっさと助けろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！」

・・・と、これまたゲスっぷり全開のセリフを叫ぶ。

「ぎゃはははは！　燃えてる、燃えてる、私の体が燃えているううううっ！
　あ、キレイだな♪　あ、キレイだな♪　燃える炎はキレイだなっ♪
　ボクちん燃えてる、きゃっはっは♪　わーい、わーい、楽しいな～♪」

・・・と半狂乱になりながら歌い始める。
直後、機体は爆発。当然、火車は爆死した。
この戦いによって花組は、火車の悪行から東京を守ることに成功した。

・・・のだが、火車自体のゲスさだけでも胸糞悪いのに、
最後の自分勝手極まりない態度と台詞は、本当に後味悪かった。
しかも、これほどのゲスが（発狂しているとはいえ）
幸福そうに笑いながら死んでいくという点も後味悪い。

サクラ大戦シリーズで、人気投票が行われたという記憶はないが、
もしそういうイベントがあったら、きっと火車がぶっちぎりで不人気一位になるだろう。
それくらいのカスだった。

なお、火車を演じたのは、超大御所の関俊彦である。
関はこんなキャラを演じて、嫌じゃなかったんだろうか？
どうでもいいけど、ちょっと気になる。