ジョリー、食い違う(シオドア・スタージョン)
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151:1/5:2014/03/01(土) 15:46:10.07
- シオドア・スタージョン「ジョリー、食い違う」
不良に憧れる高校生ジョリー。
軽い気持ちでドラッグに興味を持ち、
マリファナ中毒だと噂のある知り合いAに気に入られているが
実際に手を出した事はない。金曜の夜、A達不良の集まる店に行こうとこっそり家を出るが、
母親に見つかった。ジョリーどこへ行くのまた遅くなるんでしょ
あんたの「早く帰るよ」は「土曜の朝早くに帰るよ」なんだから
まったくもうあんな連中のどこがいいの
お父さんあなたの息子を叱ってやってくださいな。俺はテレビを見る権利もないのか
一日中くたくたになるまで働いて疲れてるんだ
ほっとけ好きにさせてやれ。
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152:2/5:2014/03/01(土) 15:48:15.51
- 父親はテレビの西部劇に夢中で、母に呼ばれて不機嫌だ。
母親はジョリーの友達を貶し(ヤク中、性病の小娘、兵役逃れの低脳)、
好きにすればいい
あんたの面倒を見てくれる家の事なんか忘れて
悪い仲間と遊んどいで!と怒鳴った。ジョリーは思い通りの勝利を得たが、
こんな時にはいつも一人で放り出されて
誰にも構ってもらえないような気分になる。車が欲しい
車さえあれば好きな時に好きな事を、しかもあまり遅くならずに家に帰れる、と思いながら
不良の溜まり場へ歩いてゆくと、クラスの情報通とすれ違った。
「BがCを手に入れたぞ」Bは母親の言う兵役逃れの低脳で、ムスタングを持っている。
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153 :3/5:2014/03/01(土) 15:50:41.51
- Cはハイスクール1の美少女で、お堅い清潔な委員長で優等生だ。
ムスタングの事を考えながら歩いていると、クラスの女子Dがいた。
頬に涙のあとがあるDは、
11時に家に来てくれない?あたしずっと寂しかったのよ、
とジョリーを誘った。ジョリーは有頂天になった。
彼はもう、『ママにきいてみなくちゃ…ダメだってさ』のジョリー、
いつも外から中を覗きこんでいるか
中から外を窺っているかのジョリーではないのだ。さらに歩くと、マリファナ中毒Aがいた。
マリファナ煙草ではなく初めて覚醒剤を手に入れたが一人では怖いから一緒にどうだ、
と言われたジョリーは、今夜はデートだからと断った。
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154 :4/5:2014/03/01(土) 15:52:31.40
- 不良の集まる店の前で情報通の男子が、
クラスの男子3人がDから病気をもらったらしいぞ、と言った。
店からBとCが出て来て、歩道に停めたムスタングに乗り込んだ。
ムスタングは少し走っただけで街路樹にぶつかり、炎上した。母親はいつもジョリーの事を気にかけ、
一番いい服を着せて一番いいものを食べさせてくれる。
父親は家族の為に毎日くたくたになるまで働いている。
僕が悪かった、父さんと母さんに話してみよう。
お互いの話に耳を傾け合うって、すごく大事なんだなあ。
二人ともきっとわかってくれるさ。
まだ11時45分、日付が変わる前。
金曜の夜にこんなに早く帰るのは初めてだ。
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155 :5/5:2014/03/01(土) 15:54:54.78
- 裏口から家に入ると、いつもの夫婦喧嘩が聞こえる。
ジョリーは人々が互いの話に耳を傾け合う可能性を信じて、
両親の寝室のドアをノックした。「あたしは手を引くよ、もう沢山だ。
お前はごみ溜めでヤク中や病気持ちと暮らせばいい!」
「俺だって沢山だ、お前は好き勝手に遊び回るし女房は文句ばかり。
さっさと失せやがれ!」父親はジョリーを殴り、廊下に追い出した。
ジョリーは町へ戻り、Dに童貞を捧げてからAと覚醒剤を打ち、
午前五時に麻薬不法所持ならびに不法使用で逮捕された。
二週間後、少年院の中で梅毒の最初の症状が現れた。
終1969年発表
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159 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 18:51:31.46
- >>151
なかなか面白かったよ
一つ一つの出来事が実際にありえるレベルのものだから、
現実的な後味の悪さがあるね