眼球綺譚(綾辻行人)
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742 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/01/07 05:46
- 眼球奇たん(漢字出ない・・・)にはこんな話が。
私は長年付き合ってきた女性に結婚を申し込んだ。
しかし彼女は、自分のある身の上に結婚を断った。
彼女は、彼女の父に乱暴されながら育った。
ある日彼女は、亡くなった母の代わりに料理を作らされるが包丁で自分の指を切り落としてしまった。
父は怒鳴り、彼女を殴りつけて、大した治療もせずに放置した。
しかし、1週間ほどで彼女の手には新しい指が生え始め、
すぐに元通りになってしまった。
それを知った父は彼女の体を切り刻み、再生を楽しみにするようになる。
私も最初は信じられなかったが、哀しい彼女の過去を思うと、
改めて結婚を申し込み、彼女もOKした。(続く)
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743 名前:742 投稿日:02/01/07 05:55
- 結婚して間もなく、彼女は倒れた。
ヤコブ病(脳が海綿状になる病気)と診断された。
混乱してゆく彼女の記憶。狂い始める彼女の人格。
療養のために、私と妻は山奥のロッジへ行った。ロッジでの夜。
目を離した隙に、彼女は暖炉の前で倒れていた。
気付いたときには手遅れで、彼女の顔は完全に焼け爛れ、殆どが炭のようになっていた。
そして私は、彼女の秘密を思い出した。彼女には再生能力がある。
嘘か本当か解らないが、それしか方法はない。
うまく行けば、ヤコブ病も言える筈・・・
そう思いながら、私は彼女の首を切り、庭へ埋めた。ウェディングドレスを着せ、横たわる首のない彼女。
私は再生を待つ。
しかし何日経っても、再生される気配はなかった。
彼女を抱くと、緑色に変色した皮膚が肉から剥がれ、
腐汁が流れ出した。やはりただの妄想だったのか・・・
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745 名前:743 投稿日:02/01/07 06:18
- (落ち)
更に数日待っただろうか。
腐臭は耐えられない程になり、私は半ば放心していた。
外は激しい雷雨。雷鳴に混じって、小さな声が聞こえた。
私は起き上がり、彼女を見たが新しい首が生えるどころか、
彼女の肉体は完全に滅びつつある。
・・・まさか。
私はロッジを駆け出し、庭を探した。
庭の一部から、その声は聞こえている。
掘り出すと、彼女の焼け爛れた首から小さな胴体が生えつつあった。
・・・こっちが再生の本体だったのだ。
私は新しい彼女を抱え、嵐の中で立ち尽くした。(お・わ・り)
雰囲気を失わない程度に端折ってます。
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