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563 名前:545 投稿日::03/04/14 02:19
以前読んだ後味の悪い本の紹介

『偽原始人』(井上ひさし/新潮文庫)
あらすじ:
小学五年生の主人公は普段からふたりの塾仲間と遊んでばかりいて、
親が必死になって通わせている塾もサボっている。
というのも、学校の詰め込み教育や母親の過度の期待に対して
応えることの出来ない自分に気がついているからだ。
「塾に行っているフリ」をすることで母親に対して「親孝行」をする一方、
暗殺リストを作る(トップは母親)「遊び」によって精神のバランスを保っている。

そんな時限つきの微妙なバランスは、
塾に行っていないことが母親にバレることによってあっけなく終焉を迎える。
愛する息子に裏切られたと感じた母親は、激昂してスパルタで有名な家庭教師を雇い、
夏休みの間、主人公が家から一歩も出られないようにしてしまう。
体罰をよかれとする家庭教師から、日々厳しい勉強を強いられる主人公。
同時に悪友もまた同じ家庭教師に勉強を強いられ、地獄のような日々を送ることになる。


564 名前:545 投稿日::03/04/14 02:24
続き

そんな生活についに耐えられなくなった主人公と悪友は共同で脱走を画策する。
計画は見事成功し、三人は家庭教師と家族からの逃避行を繰り返す。
そして電車に乗って遠くへ逃げようとする瀬戸際、
最後の最後で母親に名前を呼ばれた主人公は、「家出」という遊びを打ち破られ、
一気に現実に引き戻されることによって元の生活に戻ってしまう。
 
ここからがオチでもあり後味の悪いところ

もう打つ手もない、と思って諦めていた主人公たちは、
ふと以前立ち読みしていた本からヒントを得てそれを計画し、実行する。
手段は陽狂(精神病の詐病)。
気が狂ったフリをしてなんとか現状から逃げだそうとするが、病院に連れて行かれ、
医者と主人公たちだけで面と向かったところで結局見破られてしまう。
医者は「外から眺めているとここはなんとなく特別のところのような気がするかも知れないが、
実はここにも退屈な日常はあるのだ」と諭すが、
後に引くことの出来ない主人公たちはその場で本当に狂ってしまう。

俺の拙い要約では感じが出ないかも知れないけど、これはなかなかどうして傑作。
また、解説もかなり優れているのでオススメ。


566 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/04/14 02:40
>>563
それ、私も読んだ事あります。
「ちょっとシビアな“ズッコケ三人組”」だ!って痛快な気持ちで読んでたのに、
終盤で一気に突き落とされて呆然でした。

570 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/04/14 03:05
>>566
他に読んだことのある人がいてちょっと嬉しい。
ひょっこりひょうたん島のイメージが強すぎて
井上ひさし=子供向け作家
と思われてるフシがあってちょっとイヤなのだけど、
実はハッピーエンドの作品は意外に少ないね。
『四十一番目の少年』や『吉里吉里人』もスッキリしない終り方で、
私の中では
井上ひさし=イヤな人
という図式が成り立っております。

 

偽原始人 (新潮文庫)
偽原始人 (新潮文庫)


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