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474 名前:1 投稿日:05/02/14 12:42:12
重松清の「カラス」

バブル絶頂期に郊外のマンションを買ったサラリーマンが主人公。
買ったとたんにバブルははじけマンションの価値は暴落。
なぜあの時買ったのだろう、なぜもう少し待てなかったのだろうと後悔し
そのことで妻ともいさかいが絶えない。
最初に約束されていたはずの付近の都市開発も中止になり、
その上マンション付近にカラスの大群が住み着き
ゴミ捨て場を荒らすため、ますます価値が下がっていく。
住人同士のまとまりもなく、皆あきらめきって生活していた。

そこへ坂本一家が新しく越してきた。
主人公とその家の父親が同じバスに乗り合わせたことで知り合いになる。
彼は快活で、主人公がなぜこんなところにわざわざ越してきたのかと訊ねると
「自然が多くていいところじゃないですか」と明るく言う。
家族構成が同じで子供同士が同級生ということもあり
主人公が幼稚園児の娘に「あの子と仲良くしてあげなさい」と言うと
娘は「太郎君とは遊んじゃいけないんだよね、ママ?」という。
そのことを妻に問いただすと妻は主人公の知らない昼間、
マンション内で起こっている不穏な事態について語りだした。


475 名前:2 投稿日:05/02/14 12:42:52
最初は坂本家の隣家の主婦がベランダで洗濯物を干しているときに
窓を開けていた坂本家から聞こえてくる話し声を
なんとはなしに聞いたことから始まった。
それは訊ねてきた知人と坂本家の奥さんとの会話だった。
知人「自然が多くていいところね」
奥さん「それくらいのことでもなきゃ、買わないわよ。 こんな所 」
―――――――――――――― こ ん な 所 。
話はたちまちマンション中を駆け巡った。
自分たちより2千万も安く買っておきながら、こんな所と言った奥さんを
住人たちは絶対に許せなかった。
その日から奥さんと口をきくものはいなくなり、
子供も幼稚園でいじめられるようになった。

そしてその出来事から住民同士の結託が強まり、今までなかった自治会もでき、
マンションの問題を皆で解決していこうという機運が高まった。
約束だった周辺の開発をマンションの管理会社に求め、
カラス対策にゴミ捨て場がカラスにあさられないように
住人に蓋つきのポリバケツが支給された。
しかし坂本一家は完全に無視され、自治会にも入れなかった。
主人公は坂本家の父親から子供と遊んでやってくれ、
奥さんにもうちの家内とつきあってくれるよう頼んでくれ、と
頼まれるが適当に笑ってごまかしてしまう。
主人公も彼を疎ましく感じるようになっていた。


476 名前:3 投稿日:05/02/14 12:43:42
いじめはいっそう酷くなり、奥さんはノイローゼ状態になっていった。
それと平行して自治会の会合も毎日のように開かれるようになった。
自治会は方針をめぐって分裂し、派閥ができて対立しはじめていた。
主人公の妻も欠かさず出席していた。
皆自分のいない間に交わされる会話が怖いのだ。
妻はいつのまにか中立派のリーダーに立たされていた。
いつ攻撃が自分に向かってくるかとおびえ、
率先して奥さんをいじめるようになっていた。
主人公もいじめに加担するようになった。

いじめも絶頂期に達したとき事件がおきた。
坂本家の子供がカラスに襲われたのだ。
カラスはゴミ捨て場をあされなくなったので人を襲うようになっていた。
この事件は新聞沙汰になり、これを機に坂本家は引越しを決めた。

休日に主人公が娘と散歩をしていると坂本家の父親と出会う。
彼は、たった半年で500万値下がりした。2000万でこれだけ
いじめられたのだから、1500万だったらいったいどんな目に
あうのでしょうね、と引きつった笑顔で言い去っていった。

あいかわらず周辺の開発は始まらず、
カラスはますます手におえなくなっている。
いじめという共通の楽しみが無くなり住民同士のまとまりもなくなった。
主人公の家にはときどき無言電話がかかってくるようになった。
主人公はため息をつきながら今日も2時間半かけて会社に向かう・・・・・・・

終わり。

 

見張り塔からずっと (新潮文庫)
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