Q&A（恩田陸）

郊外の巨大ショッピングセンターで大惨事が起こり、
数十人が死に何百人もが怪我をするものすごい事件になった。
センターの中で「何か」が起こり、逃げようとした人々がパニックになり
転倒したり圧死したりしてこのような事態になったわけだが、
そもそもこの「何か」が不明。火事の事実もテロの形跡も一切ない。

その原因を究明するために、現場に居合わせた人などの関係者に
インタビューをして「あの時実際には何が起こったのか」を追求していくわけだ。
で、インタビュアーの質問に回答するという形式で話が進んでいくわけだが。

最終的には、「実際に何が原因であのような事故が起こったのか」
という明確な結論は出ないまま。実はこうだったのか？いやそれとも
ああだったのでは？と悩んでいるうちに、ショッピングセンター跡は
都市伝説の現場と化し、事件は風化していく。やがてセンター跡地に
別のホームセンターのようなものが新装開店し、世間は事件の事を忘れ去っていく。

事件の生き残りの少女がおり、事件当時３～４才。大人が折り重なって
倒れているような現場で救助されている。服に血はついていたが
少女は傷ひとつ負っていなかった。結局、誰の血かも分からずじまいの
まま、やがて「奇跡的に生き残った少女」としてエマーな母親がぶち立てた
新興宗教団体の生き神に祭り上げられていく。

やがて事件自体が風化した頃も、少女は母親や教団幹部に利用されるため、
世間から隔離され軟禁のような状態の生活を送っている。
そして教団の分裂争いに利用される形で、もうすぐ少女は死ぬしかないのだ…
と余韻させるオチ。

そして更に、大ラスで「もうすぐこの少女は死ぬんだ」というのが分かる理由が、
未来からきた自分自身の幽霊（らしい）にそれを告げられるから。

ここまで現実にあり得そうな怖い話として引っ張ってきて、最後の最後で
オチはＳＦなのかよ、なめとんか、そりゃあねえだろう、と。

まあ要するに、最終章とオチが蛇足ってことで、めっさ後味ワルーだった。