人魚

91 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/05/20(金) 02:25:19
「カリュウド」の作画してた望月あきらが、
大昔読み切りで描いてた少女漫画。

時代は現代。ある海辺の町に、実直で魅力的な青年が住んでいた。
この町には、何年かに一度、人魚が陸に上がってきて、
男をたぶらかして殺すという伝説があった。
ある日、青年は海で、大きくて(手のひらに入るくらい)美しいウロコを拾う。
その夜、浜を歩いていた青年は、岩場で美しい人魚を見た。
幻かと思う青年。人魚はすぐに海に飛び込んでいなくなってしまった。
しばらくして、浜に美しい少女が打ち上げられる。
記憶がないらしく、正体も分からないまま、青年と少女は恋に落ちる。
青年と親しい老人が、あれは青年を殺しに来た人魚だと主張するが一笑に付される。
その内、青年は少女の足にアザがあるのに気づく。
それは、青年が拾ったウロコと全く同じ形をしていた。
少女はやはり人魚だった。ウロコを取り返しに来たのだ。
だが秘密を知られたら、少女は青年を殺さなければならない掟だった。
どうしたら少女と結ばれるか、少女に尋ねる青年。
少女は自分の真珠のネックレスを引きちぎると、海辺のガケから海にばらまいた。
今夜、月がこのガケにかかるまでに、真珠を全部集めてきて欲しい。
そうすれば二人は結ばれると言う。青年は約束する。
酸素ボンベをつけて海に潜り、真珠を集める青年。だがそれは優しい事ではなく、次第に疲労がたまっていく。
ついに月は昇りきった。ガケの上で、泣きながら待ち続ける少女。
まだ青年は戻ってこない。海底で最後の一粒を手にしたとき、ボンベの酸素が尽きてしまったのだ。
その時、涙ぐむ少女の胸を弾丸が貫いた。老人が、少女を背後から撃ったのだ。
目を交わす老人と少女。同じ青年を思う心が、無言で通じたかのようだった。
静かに、海に落ちていく少女。その姿は波に消えていった…。
その後、青年は奇跡的に救助された。少女の死を知らされる青年。
真珠は集めたのに。傷心で海をのぞき込む青年。その時、彼は見たのだった。
海の中に、胸を真っ赤にそめて沈んでいく、美しい人魚の姿を…。