海より来るもの(諸星大二郎)

580 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/08/03(水) 17:59:23
諸星大二郎の恵比寿神ネタのマンガ見つけたよ。
「海より来るもの」。
考古学者の稗田が、各地で古代の怪異に遭遇していくシリーズの一編で、竜宮伝説もからめてあった。
ネタ詰め込みすぎで解りにくく、事件も解決され切れてなくてけっこう後味悪かったので、一応、書くね。
事件は、稗田の元教え子、大島くんの手紙の形でつづられている。

大島くんの住む海辺の町では、
海から流れ着く石や木、土左衛門などを「寄り神」として岬に奉っており、エビス様と呼んでいる。
例えば、7年前に沖で8人の漁師が遭難する事件があり、
その時は3人の死体が流れ着いた。今、祠には3つの丸い石が変わりにおさめられている。
死んで、エビス様になったわけだ。
その町に、最近、人魚の死体が打ち上げられたというウワサが立つ。
見つけたのは、海岸にある蛭子神社の宮司。
しかし秘密主義で詳しいことが解らない。興味津々の大島くん。
すると直後に、今度は大島くんが、溺死体に遭遇する。また神社の近くだ。
海に向かって「帰れ!帰れ!」と叫ぶ宮司を見かけ、不審に思う大島くん。
そして3日後にまたもう一体。今度は、服装などが異常に古い。町は大騒ぎに。
7年前の事故で行方不明のままの漁師の遺族も騒ぎ出した。
流れついた死体にそのときの漁船の名前が入っていたという。
本当なら、とっくに白骨死体で良いはずなのだが……。


581 名前:580 投稿日:2005/08/03(水) 18:00:29
また、大島君のガールフレンド(霊感少女)が、変な夢を見たという。
海辺で叫んでいる宮司の周りに土左衛門が集まり、
「姫様をかえせ~」と恨みがましく騒いでいるという夢だ。
それに対し、宮司は「古い寄り神は新月の夜に返す」と言っていたという…。
大島の手紙を受けて、稗田教授が返事をくれる。
何でもここの蛭子神社では、7年ごとにご神体を取り替えるという。
ご神体は宮司がその時々で漂着物から選ぶ。
そのとき、古いご神体は海へ返す。これを「エビス返し」と呼ぶのだ。
間もなく新月の日が来た。岬は、大嵐となった。
ふらふらと岬に向かう霊感少女。追いかける大島くん。
そこで二人は、決して一般には公開しない、エビス返しの儀式にぶつかってしまう。
形式上、新旧のご神体は、同時交換の形で行われる。
宮司は、古いご神体を箱に詰めて用意していた。しかし、何故か2つある…。
海を見て叫ぶ霊感少女。波間に、一人また一人と溺死体が浮かんでくる!
しかも口々に、「姫様をかえせ~」と迫ってくる。「帰れ!」と叫ぶ宮司。
突然、一人の男が儀式に駆け寄る。7年前の事故の遺族のひとりだ。
男は、ムリヤリ箱を開けようとする。「わかってるんだ、7年前からここだと!」
ところが、転げ出たのは、腐りかけたような半人半魚の死体が。
もう一つの箱につかみかかる遺族の男。中からは、ぐちゃぐちゃの死体が現れた。
息子の名を呼ぶ男。すると死体が口をきいた!

582 名前:580 投稿日:2005/08/03(水) 18:01:26
来ないでくれ、おれは海に帰りたいんだ…」仰天する大島くんと霊感少女。
息子は、7年前に死んだが岬に流れつき、エビス様となっていた。
今は神として海に帰り、死んだ仲間たちと暮らしたいという。
宮司は、先日流れついた人魚を、この儀式で正式に
次のご神体にしようとしていたのだ。
「姫様を帰せ~」「乙姫様を帰せ~」と迫る死体たち。
宮司は7年後に戻すと叫ぶが、「うそだ!」とはねつけられる。
こいつは、乙姫様を永遠に手元に置いておくつもりだ!
そこへ、大波が襲ってきた……!
全てが流されて行ってしまう。
人魚の死体も、溺死体たちも、息子の死体も。そして宮司も。
海は静まった。今はもう、現実か幻かもわからない……。おわり。

人魚と「乙姫」の謂われの関係は?
どうして宮司は、人魚を絶対帰さないと決めつけられたのか?
最近打ち上げられた、2つの死体は?
宮司ながされて、この後、由緒ある神社どうなるんだろう。
などなど、ページ数のせいか説明不足で、納得いかないとこ多し。

 

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