ジョジョの奇妙な冒険/第4部「ダイヤモンドは砕けない」(荒木飛呂彦)
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291 名前:1/4 投稿日:2006/04/15(土) 01:39:21
- ジョジョの奇妙な冒険の第四部が何となく切ないというか後味が悪い。
舞台は1999年の地方都市杜王町。主人公の仗助は普通の高校生。
ある日仗助は前作の主人公承太郎から、自らの意思で潜在能力を持った
人間を探し出して射抜き、スタンドという超能力を目覚めさせる「弓と矢」が
杜王町に現れ、スタンド使いが増えていることを聞く。
スタンドってのはその人の分身みたいなもので、その人の潜在的な欲求・願望を
一つ具現化させてくれるようなもの。
仗助自身もスタンド能力に目覚め、承太郎と共に「弓と矢」の回収を目的としながら、
目覚めたスタンド使いたちの事件に巻き込まれていき、彼らと仲間になる。というのが前半。ある日仗助と仲間は「振り向いてはいけない場所」という普段見えないけどふいに
入り込んでしまう心霊スポットに迷い込む。ここで振り向くと、
無数の魂に引きずられて帰って来れなくなるという恐ろしい所。
そこで10年前に殺された鈴美という少女の幽霊に出会い、自分を殺した犯人を捕まえて欲しいと頼まれる。
犯人はスタンド使いで、鈴美を殺害した後も密かにこの街で殺人を繰り返していると言われるが、
こんな穏やかな街で殺人事件が起こるはずはないし、
起きていたらもっと大騒動になってるはずだとあまり信じない。
ところが、鈴美に杜王町の行方不明者数は異常に高い数値であること、
鈴美に残された深く刺されたナイフの後などを見せられ、
仗助たちは異常な殺人鬼の存在を知り、なんとか探そうとする。
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292 名前:2/4 投稿日:2006/04/15(土) 01:40:02
- この殺人鬼は吉良という30歳くらいのサラリーマン。両親は他界し、一人暮らし。
物腰の柔らかい紳士的な美形だが、高い知能をわざと隠して
目立たないように目立たないように生活しているため誰も吉良の本性に気づいていない。
吉良は「モナリザの手を初めて見たとき勃起した」と言う位「女性の手」に異常な執着を持っていて、
「切り取った女性の美しい手」しか愛せない。
抑えきれない欲望と異常な性癖の為だけに女性を殺してはその手だけを愛していた。
吉良は手に話しかけたり、手をドライブに連れて行ったり、
排泄の後手にトイレットペーパーを持たせ拭かせたりして弄んで、
腐ってきたらまた新しい手を求めて殺人を繰り返していた。
(鈴美は吉良の最初の犠牲者で、当時スタンドを持っていなかった吉良は手を取れなかった)
何故吉良の犯罪がばれないかというと、吉良のスタンド能力は「触れたものを跡形もなく爆破させる」から。ある日の昼休み、仗助の仲間で中学生の「重ちー」が吉良の「手」を発見してしまい吉良に殺されてしまう。
この重ちーはデブでがめつくてムカツク奴だけど、ママの写真持ってたり、どっか抜けてて憎めない奴だった。
重ちーもスタンド能力は持っていて必死に応戦けど、吉良には勝てなかった。
しかし、死ぬ間際重ちーは「杜王町」を守るためスタンドを使って、仗助に吉良のコートのボタンを託した。
突然の重ちーの死に困惑する仗助たち。昼休みに急にいなくなった重ちーを心配し、重ちーの両親は捜索願を出す。
仗助たちは二度と重ちーが帰ってこないのを知ってるけど、超能力なんか信じてもらえないから警察にも言えない。重ちーの為にも残されたボタンで吉良を見つけるが、吉良は寸でのところで逃亡し、
「顔や身体を変形させる」ことができるスタンド使いを脅して、年や背格好の似た男を殺し、
その男に成りすまして姿を消してしまう。口止めにそのスタンド使いは殺され、吉良探しは再び振り出しに戻る。
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293 名前:3/4 投稿日:2006/04/15(土) 01:40:45
- 吉良は「川尻」という男の顔と指紋を得て、川尻家に帰る。
川尻は冴えない無口なサラリーマンで、妻にも小学生の息子にも愛想を付かされていたし、
川尻家の家族仲は冷え切ってバラバラだったので吉良には都合が良かった。
こっそりと確実に吉良は川尻に成りすます。妻の忍はどことなく紳士っぽくなった夫を
初めて愛し、奇妙なコトに家族が復活していく。でも、息子のハヤトは何となく変わった父を怪しみ後をつけると
再び殺人を始めた吉良を見てしまい、「パパはパパじゃない」ことに気づいてしまう。
見られた事に気づいた吉良はハヤトを殺そうとするけど、ビデオに撮っていることを告げ、
自分と母を殺さないように忠告する。誰にも相談できないでいたハヤトと、「父の後を付ける息子」である吉良と
ハヤトが怪しいと思っていた仗助たちが出会い、死闘の末吉良を追い詰めるが、
吉良は誰に倒されることもなく、騒ぎを聞きつけた救急車に偶然轢かれ死んでしまう。
顔は潰れ誰かわからなくなる。殺人鬼のあっけない最後に呆然とする仗助たち。
ハヤトは本当のパパを好きじゃなかったけど、パパを帰して欲しい、誰かに吉良を裁いて欲しかったと呟く。
この後、吉良の魂は「振り向いてはいけない場所」で鈴美と出会い、鈴美の作戦により振り向いてしまい
どこかへ連れて行かれてしまう。エピローグで、吉良の呪縛から解き放たれた鈴美は仗助たちに見守られやっと成仏できる。
仲間の一人の独白が入る。
『重ちーの両親だけじゃなくて、吉良の被害者たちの親や友達は帰ってこない誰かをずっと待ってる。』
『ハヤトくんのママもパパの帰りを待ってる』ご飯を作って、帰ってこない吉良を心配する忍が、
ハヤトに「先に食べてて。ママはパパ待ってるから」と微笑む。
全てを知っているハヤトは涙をこらえて「僕も待ってる」と言う。
『この杜王町は、吉良に傷つけられて、その傷はどう癒せばいいかわからないし、傷が明らかになるのは先かもしれない』
けれど序太郎は仗助たちは第二の吉良が出たとしても、もう自分たちで街を守れるだろうと言って去っていく。
これで第四部完。
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294 名前:4/4 投稿日:2006/04/15(土) 01:45:06
- なんか小学校の頃読んで、初めて
「悪を倒せば全てハッピーエンド!」なんてことは無いんだってことに気づいた作品。
本物の川尻は実は会社で出世の為、つまりは家族の為にがんばってたみたいな描写もあるし余計に切ない。
確かに吉良は倒されたんだけど、エピローグに書かれてる通り、
「残された人たち」のことを考えるとすごく後味が悪い。