サトリ(高橋葉介)

394 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 16:57:49
高橋葉介の短編マンガ。
「夢幻紳士」の中の一編。

私立探偵にして特殊な霊能力者(ていうか、ある意味バケモノ)である
夢幻紳士・夢幻魔実也氏が、ある夕暮れ、雪山で道に迷う。
山小屋へ辿りつき一晩の宿を請うと、
囲炉裏の前に座っていた少年は
「オマエがここへ来ることはわかっていた」と不敵に笑う。
囲炉裏の前で外套を脱ぐ夢幻氏に向かって
「タンテイ…お前探偵なのか。トウキョウ…から、事件を解決させて来た帰り、か…」
夢幻氏の頭の中を覗けると言って、夢幻氏のことを次々言い当てていく少年。
妖力では負けない夢幻氏が思考を閉ざすと
「ほう?お前もそういう力があるのか。だけどおれの方が力は上だ」と少年は怯まない。
にらみ合うように囲炉裏を挟んで時を過ごしていた夢幻氏と少年だったが、


395 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 16:58:38
ふと、何かを感じた夢幻氏は顔を挙げる。
「…近くの山道で雪崩が起きたな。大勢が巻き込まれて死んだ」
それを聞くと少年は初めて表情を歪めて俯く。
「ああ、麓の村の連中だ。おれがかつて暮らしていた村の奴らだ。
 おれだって昔はこんなところじゃなく、ちゃんと村の中で暮らしていたんだ…」
訥々と自らの過去を話し出す少年。
彼は昔から未来予知能力があり、村人たちから「サトリ」と呼ばれ、
泉の湧く場所や天候の変化等を言い当てて村人たちから感謝されていたという。
しかしやがて村人たちは、避けがたく村に起きてしまう様々の不幸…
牛馬の不産も旱魃もすべてサトリの所為だと考え、サトリを恨むことの方が多くなった。
両親の墓のある村を離れることのできないサトリは、
村人の目を逃れてこんな山の中へ逃げてきたのだったが、
そんなサトリを殺す為、村人たちは今夜列を成して山を登ってきたのだという。
サトリの目には、山を上ってくる村人たちの姿もハッキリと見えていた。

396 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 16:59:44
夢幻紳士はまたふと顔を挙げ、サトリに向かって静かに言う。
「…村の連中はどうやら全滅した訳ではないらしい」
サトリは顔を挙げないまま、切なく、僅かに頬を染めて頷く。
「ああ、村の若い衆の重吉だ…あいつになら殺されても構わない…」
やがて、雪にまみれて凍えながら、気力だけでサトリの小屋に辿りつく重吉。
戸口を開けた途端に力尽きて倒れこんだ重吉を囲炉裏まで運んでやりながら
夢幻氏はサトリに向かって怒鳴りつける。
「まだ息がある、布団を敷け!着ているものを脱いでお前の肌で温めてやれ。
 お前が女だということはとっくにわかっている!」
ハっとするサトリ。
できるだけ遠くまで行って薪を取ってこよう、と言い残して小屋を出て行く夢幻氏を見送ってから
言われた通り己の肌で重吉を温めてやるサトリ。
「今夜はもう一度雪崩があるんだよ、でも、お前と一緒なら…」
泣きながら冷たい重吉の頬に頬ずりするサトリ。
うっすらと目を明けた重吉は、意識があるのかないのか、
裸のサトリの体に圧し掛かり、荒々しく抱き締める。
「抱いてくれるのかい?おれ、嬉しいよ…!!」
その時、二度目の雪崩が起きて小屋もろともサトリと重吉を飲み込んだ。
薪拾いから帰った夢幻氏は、なすすべもなくサトリの名を呼んだ。
しらじらと明け始めた雪山の朝日の中に、夢幻氏の声は虚しくこだまする…

402 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 18:28:43
>394
夢幻紳士怪奇編ですね。
ラストで重吉が抱き締めたのが、サトリの思いに応えようとしたとも思えるが、
重症で雪崩から逃げられない身と解って、自分だけではなくサトリを巻き添え
にしようとも取れるので後味が悪い……

403 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 19:39:31
>402
夢幻紳士がサトリが服脱ぎに他の部屋に行ってる間に男に暗示かけてなかったっけ?
「今から女が来る そいつはお前の事を愛しているから抱いてやれ」みたいな

404 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 19:40:04
いや、あれは夢幻が得意の催眠術で、サトリが隣の部屋で服を脱いでいる間に重吉に
「今から女が来る。お前はその女を愛しているし女もお前を愛している。抱いてやれ」
と命令したんだよ。
だから重吉はサトリを抱いた。

でも、夢幻は人の心を操ることは出来ても未来を見ることは出来ないから、
雪崩がその小屋を襲うことは解らなかった。
夢幻は良かれと思ってやったのに、サトリを死なせてしまった。
そしてもしかしたらサトリは、夢幻のその行動すらも未来予知で見ることが出来ていたのかもしれない。
後味が悪い・・・。


405 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/21(日) 20:07:00
あ~、そういやマミヤ(だっけ?)が催眠術かけてたね。
マミヤは重吉はもうすぐ死ぬだろうからいいかって思ったんかも知れんけど
重吉はマジでサトリが嫌いだったら嫌だろうなー。
本人が厭がってる事は催眠術師が催眠かけてもかからないって
言うけど本当だろうか。

 

夢幻紳士 (怪奇篇) (ハヤカワコミック文庫 (JA889))
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