いじめてくん/鉄の村松(吉田戦車)

712 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/10(土) 21:25:30
吉田戦車の漫画「いじめてくん」

いじめてくんは、ものすごくいじいじしていて苛めたくなる容姿をしているのだが、
殴ったりすると爆発して相手を殺傷する、軍の開発した爆弾。
自我があって相手を傷つけることが嫌でたまらないのだが、
そのいじいじした見かけに引き寄せられたDQNな連中にいじめられて、
ひっきりなしに爆発させられる。
その中でも後味が悪かったのが「鉄の村松」

村松はロボットだが、子供替わりに人間の両親に育てられていた。
ある日、いつもはいじめてくんと遊んではいけないと言う母親が、遊んでもいいと許可をくれる。
いじわるな性格で、いじめてくんと遊びたいと常々思っていた村松は、
大喜びでいじめてくんを馬にしたりサッカーボールにしたりして遊ぶ。
ああ面白い、苦しかったら泣いてもいいぞと言いながら、いじめて遊ぶ。

実は、母親は半ばあきらめていた子供を妊娠し、子供代わりの村松を養う余裕がなくなったため、
村松を爆発して壊してくれといじめてくんに依頼していたのだ。
母親に泣いて頼まれたいじめてくんは、泣く泣く村松を挑発する。

「村松の顔 四角顔♪ ボルトでとめる 鉄の顔♪
 村松の顔 四角顔♪ 機械油で 臭い顔♪」

実は機械であることにコンプレックスを抱いていた村松は、この歌で逆上する。
「…コ、コの野郎!」
思い切り殴られたいじめてくんは爆発し、村松は破壊され、なぜ今まで母親にいじめてくんと遊ぶことを
禁じられていたのかを理解する。
必死で家に帰ろうとする村松。だがもう体は動かない。

「オ、オカアサンにアかチャンが生マれる……
ぼクのオトうとだ ぼクのオトうとだ ぼくのオ……」

機能停止。泣きながら立ち尽くすいじめてくん。

 

いじめてくん (ちくま文庫)
いじめてくん (ちくま文庫)