禁断のくちづけ(ももち麗子)

68 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/16(金) 00:31:38
問題提起作品とかで有名なももち麗子の「きんだんのくちづけ」

主人公・リリカの母はいつも夫に殴られていた。
結局別れたものの、それでもいつも母はリリカを放って夫の面影ばかり追っていた。
中学生になり、リリカの周りの少女たちは恋に目覚めるようになった。
ひどいふられ方をした友人を慰めるリリカ。
「リリカが男の子だったらいいのに」友人の言葉にリリカは疑問を感じる。
何故女同士で愛し合ってはいけないの?
父や友人を傷つけた者が、なんで男だというだけで自分より愛されるの?

高校生になったリリカ。ある日転校生として美しい少女・カンナが現れる。
その美しさから早速嫌がらせを受けるカンナをリリカはかばい、二人の間には友情が生まれる。
だが、リリカはカンナに触れながらいつも淫靡な妄想にふけっていたのだった。
二人は廃屋にもぐりこんで遊んだりもした。ガスは使えないが水は出た。
そこで様々な事を話し合う。カンナは母を亡くしてから、父と義母と暮らしているのだという。

リリカはいきなり現れてカンナを驚かしてやろうと、携帯で話しつつカンナの家に向かう。
家の前でカンナの母とすれ違った。会釈して家の中に入っていくリリカ
「実はね今カンナの部屋の前にいるのよー」その言葉に電話の向こうのカンナはひどく驚く。
その態度にほくそ笑みながら扉を開くと、ベッドの上で下着姿のカンナとその父が絡み合っていた。
驚いて飛び出すと、出かけたはずのカンナの義母が門にしがみつきながらブツブツつぶやいていた。
「どうして私が出ていくといつも、あの人があの子の部屋に入っていき…そして明かりが消えるのかしら…」

追いかけてきたカンナが泣きながら言う。
「私がいけないのよ…ママが死んでさびしくてパパのベッドに入っていったりしたから…」
どうして私の愛する人は、いつも男に奪われ傷つけられるのだろうとリリカは思う。
幾日か過ぎ、ある夜リリカは刃物を手にカンナの家に向かう。
カンナの父を殺さなければいけない。キレイなカンナがこれ以上汚されてしまう前に。
そして家に着いた時、既にカンナの父は血まみれで倒れていた。
夫と義理の娘との行為に耐えられなくなった義母が刺したのだった。


69 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/16(金) 00:32:21
狂ったように笑う義母。痛みに倒れ伏す父。救急車を呼ぶために電話をかけに行くカンナ。
リリカは血まみれのカンナの父のそばで笑顔になる。
これで良かった、これでカンナは自分だけを見てくれると。
やがて治療を受けたものの、カンナの父は滅多刺しにされていたためそのまま死亡した。
義母は完全におかしくなり「あらあ?そんなに刺したかしらあ~」と警察に向かい笑い転げていた。
実の親子の性関係に耐えられなくなり、後妻が夫を刺殺。
この事件は大きく取り上げられ、カンナはマスコミから追われる身となった。
傷つき、居場所の無いカンナを見ながらリリカは思う。カンナと比べれば家も学校も価値が無いと。
だから全てを捨てる気で、リリカはカンナを連れ廃屋に住みつくようになった。
そこは誰も訪れない楽園のようで、食糧はリリカが買いに行き、二人は楽しく毎日を送った。

だがいつの頃からかカンナが廃屋を抜け出しどこかに行くようになった。男と会っていたのだった。
「私を抱くのはパパだけじゃなかったのよ」会社の経営に困っていた父は、
ごめんなごめんなと泣きながら、金と引き換えにカンナを男たちに抱かせていたのだという。
そのうちの一人がカンナをこの町から連れだし匿ってくれると言っているのだ。
リリカの思いに気づき、そして嫌悪しはじめていたカンナはその男と共に町を出ていく気だった。
「その体でなにができるっていうの?」リリカの服を破いて出ていくカンナ。
しかし相手の男は結局口だけで、またカンナは居場所を無くし、結局廃屋へと帰っていく。
帰ってきたカンナにリリカは貯金から下した大量の札束を投げつける。
「カンナが金で男に買われるというのなら、私がカンナを買うわ」
もうリリカしかいないとカンナはリリカを抱きしめる。
その夜、二人は廃屋のベッドの中で全裸で抱き合いながらまぶたを閉じた。

リリカは思い出す。カンナの父が死んだ日の事を。
カンナが電話をかけにいき、義母が狂い笑うなか、リリカは持っていたナイフで
既に傷つき倒れていたカンナの父の腹部を更に何度も刺した。
カンナの父が確実に死ぬよう、蘇生などしないよう、何度も何度も。
いいえ違う。父を殺したのはやっぱり義母よ、これはいつもの私の妄想――
リリカはそう否定して、カンナのくちびるに自分のくちびるを重ねた。


77 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/16(金) 18:02:44
>>68-69
乙!
面白かった。後味は悪くないけどこーゆー話大好きだわ~。
>いいえ違う。父を殺したのはやっぱり義母よ、これはいつもの私の妄想――
特にココが良いね!ちゃんと落ちが効いてる。

 

いたみ (講談社コミックスデザート (27巻))
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