ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その50 » わたしが消えた(渡千枝)

810 名前:1/4 投稿日:2006/07/17(月) 22:23:35
昔のホラー漫画を思い出した。たぶん渡千枝の作品。

主人公を乗せたバスがトンネルで事故に遭う。
気がつくと主人公はトンネルの中に倒れていた。
バスも見あたらないし乗客もいない。
おかしいと思いながら家に帰ると、母親の様子がおかしい。
「私に娘はいない」と主人公を家に入れようとしない。
母親の態度にムッとして強引に入ろうとしたところ、
「悪質な冗談はやめて!」とドアを閉められた。

途方に暮れた主人公に、警察のような制服を着た男が近づいてくる。
男は怪しい人間がいると通報があったと言い、問答無用で主人公を捕らえようとする。
怯える主人公を見かね隣人が助けてくれた。
「その子は親類の娘です、家を間違えたんです」とかばってくれる。


811 名前:2/4 投稿日:2006/07/17(月) 22:26:57
隣人の家に匿われた主人公は忠告を受ける。
憲兵に捕まりたくないなら不審な行動はとるな、危険だと教わる。
「私は事実を言っている。母親はおかしくなった」と主張するが、
隣人と隣人息子は顔を見合わせる。

隣人二人も主人公を知らないと言うのだ。
息子二人とは幼馴染みだったのに、隣人にも否定されて主人公はショックを受ける。
同時に隣人もショックを受けたようだ。
この家には息子は一人しかいない。二人ではない。
混乱した主人公がもう一人の息子の名前を叫ぶと、母親が硬直した。
その名前を持つ子供はいた。しかし流産してこの世に産まれてこなかったのだ。

主人公は悟った。
主人公は幼い頃に川に落ち、隣人のもう一人の息子が助けてくれた。
しかしこの世界には主人公を助けるはずの息子が存在しない。だから主人公も存在しない。
この世界では、主人公はすでに死んでいるのだ。


812 名前:3/4 投稿日:2006/07/17(月) 22:28:32
主人公が本当の話をしている、この世界は主人公が暮らす世界と
似ているようで微妙に異なっていると隣人は信じてくれた。
主人公を元の世界に戻してやりたいが、迂闊な行動は危険だ。
この世界には憲兵制度があり、彼らに逆らっては生きていけない。
睨まれればすぐ捕らえられるし捕まった者は二度と戻ってこない。
彼らに見つからないように行動しなくてはいけない。

主人公はトンネルの中で事故に遭い、トンネルの中で気がついた。
そこに元の世界に戻る方法がありそうだ。
見つからないように夜の闇に紛れて移動するが、憲兵が襲ってきた。
主人公をかばい、銃剣で突き刺される隣人。
「逃げろ!」と叫んだ後、銃で撃たれた息子。
主人公は泣きながら必死で走った。
そしてトンネルの中に入った途端に気を失う。


813 名前:4/4 投稿日:2006/07/17(月) 22:29:07
気がついた時は病院だった。
側には母親がいる。泣きながら主人公の無事を喜ぶ母親。
自分は母親の娘か、隣人には息子は二人いるか尋ねる主人公。
変に思いながらも「その通りだ」と答えてくれる母親。
戻って来られた安堵と、自分の為に死んでいった別世界の隣人を思って悲しむ主人公。

隣人と言えば、隣人の息子達も主人公を心配している。
仕事が終わったら見舞いに来ると言っていたから、そろそろだろう。
二人の顔を見たい、この世界をもっと実感したいと待ちわびる主人公。
扉が開いて、彼らが入ってきた。
「無事だったんだね、よかった」
そう笑う二人は、憲兵隊の制服を着ていた。


818 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/07/17(月) 23:40:27
>>810-813
乙です。
しっかし、こういう「ラストにどん底に突き落とされる系」の後味悪さってゾクゾクしていいな。

 

わたしが消えた! (講談社コミックスフレンド B)
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