江戸役者異聞(山本昌代)
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563 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/13(水) 00:18:58
- タイトルも作者名も覚えてないけどごめん。実在の人物を元にした河出書房の小説。
江戸時代の話。主人公は売れっ子の役者で美形。
ツンとして無愛想だし全部を見下しているような高慢な性格。
けれど美形なのでそれが様になってる。それと物を食べる行為が嫌い。(でも食べる)
性格が悪いので悪友の女遊びが激しい職人が一人いるくらい。ある日、片足に異変を覚える。おかしいと思いながらも、
プロ意識は高かったので包帯を巻いて仕事をする。
どうにもならなくなり医者に見てもらうと「手足が腐る病気。
いずれ他の手足も腐る」と診断される。それでも役者を続ける主人公。ついに片足が完全に腐り切断。
だが彼は役者を辞めなかった。団長はしぶるも、片足の役者も斬新かと認めてくれる。
生活に不自由が出てきて困っていた時、昔の女が世話を焼きに来てくれた。
彼の子らしい男の子まで引き連れて、高慢の主人公はいぶかしながらも仕方なく女と生活し始める。
だが、それでも徐々にその女を愛しいと思い始めていた主人公。
そして他の手足も腐ってきた。片腕も切り、ついに残った足も根元から切断。
いよいよ女がいなければまともに生活できない。
だが女は「片足だからそれが艶っぽくて良かった。両足がないのはただのカタワww」と子供を連れ出て行った。
その時、子供が自分の子供なんかではないことに気づく。彼女にとって子供は一種の道具だったのだ。
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564 名前:2 投稿日:2006/09/13(水) 00:20:09
- もはや意地で役者をする主人公。
観客は頑張る自分を応援してくれているんだ。
ある時、演技中に尻餅をついてしまう。衣装ははだけ、みっともない姿だった。
だが自分ではどうにもならず動けない主人公。
その時、客席から笑いが起こる。客は応援していたのではなく面白くて見ていただけだったのだと彼は悟った。しばらくし、ついに彼は芋虫状態になった。
劇団の人間が食事は運んでくれていたが、健常だったころの素行のおかげで誰も世話は焼いてくれない。
嫌悪していた食事がこれほど大事だったなんて。
犬のように這い、むさぼる彼は痛感する。時は経ち、誰も彼を見なくなった。
動けない彼の周りには汚物が散らばり、悪臭の部屋に転がるしかない芋虫に美しい頃の面影はなかった。
だが時折、悪友の職人がひょいと陽気に顔を出す。
笑う彼には鼻がなかった。梅毒の彼はヘラヘラと出て行く。
それを見送る主人公。
主人公は後、発狂して死ぬ。
終わり。かなりうろ覚えで話の順番とか詳細が違うかも。
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565 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/13(水) 00:31:00
- >>563
要約がとてもお上手!
勧善懲悪だけど後味悪いのは何故かしら。
ストーリー自体どこかで読んだことある気が..。
挿し絵とか入ってたっけ?
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566 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/13(水) 00:32:11
- >>563
実在の人物だよね?
ttp://www.kanshin.com/keyword/767153
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567 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/13(水) 00:41:22
- >>565
絵は表紙だけだったかな?表紙だけ見ると明るい話に見えたから買ったんだよね…。>>566
それだ!山本昌代の江戸役者異聞でした。サンクス。
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571 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/13(水) 11:27:48
- 発端はバージャー病で末期は糖尿病も発症したみたいだね
バージャー病から糖尿病を併発するのは稀にあるらしいけど
現在医学でも田之助の症例は、進行を押さえて手足の切断を
回避するのが精一杯・・・だとか江戸末期~明治初期の時代ではどうしようもなかっただろうけど
容姿と粋が全ての役者で、手足が一本一本腐っていく精神的
肉体的苦しみはいかばかりか、と思うよ