ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その58 » 良栄丸遭難事故

397 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:51:26
1927年10月31日、 カナダ西海岸バンクーバー島。
ワシントンのシアトル港への帰路についていたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、
行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。
ボロボロに朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死臭、白骨体、足の無い死体。
船室には、頭蓋骨を砕かれた白骨体とミイラがあった。
船室奥の部屋には、おびただしい血痕が染み付いていた。
船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が至るところに散らばっており、
コンロの上にあった石油缶の中には、人の腕が入っていた。
船内には食物も飲料水も無く、エンジン機関部は全て破損していた。
ところが、船長室から見つかった3冊のノートには、信じられない惨状が書かれていたのだった。


398 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:51:58
「12月27日。カツオ10本つる」
「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水とした」
「2月17日。いよいよ食料少なし」
「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきた」
「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、
 「ひとめ見たい・・・日本の土を一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」
「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が病死。かわって松本源之助が筆をとる。
 井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。
 全員、顔は青白くヤマアラシのごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」
「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然うわごとを発し、
 「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える・・・・。」
 などと狂気を発して、左舷の板にがりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」

399 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:52:49
「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て、三谷寅吉は突然として逆上し、
 オノを振りあげるや、吉田藤吉の頭をめった打ちにする。
 その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなく、しばしぼう然。のこる者は野菜の不足から、
 壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」
「4月4日。三鬼船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。
 全員、人食いアリのごとくむらがり、羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。
 血がしたたる生肉をくらうは、これほどの美味なるものはなしと心得たい。
 これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」
「4月14日。沢山勘十郎、船室にて不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。
 人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」

400 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:53:42
「4月19日。富山和男、沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。
 地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。
 同夜、二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」
「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長と日記記録係の私のみ。
 ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。
 山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。
 友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。
 白骨のぞきて、この世の終わりとするや・・・・」

401 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:55:04
日記はここで切れている。
だが三鬼船長は、杉板に鉛筆で、以下のような家族宛ての遺書を残していた。

「とうさんのいうことを、ヨクヨク聞きなされ。
 もし、大きくなっても、ケッシテリョウシニナッテハナラヌ・・・・。
 私は、シアワセノワルイコトデス・・・ふたりの子どもたのみます。
 カナラズカナラズ、リョウシニダケハサセヌヨウニ、タノミマス。
 いつまで書いてもおなじこと・・・・でも私の好きなのは、ソウメンとモチガシでしたが・・・・
 帰レナクナッテ、モウシワケナイ・・・ユルシテクダサイ・・・・」


402 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/06(月) 23:56:17
良栄丸の話は、それだけなら悲惨な事故なんだけど
実はアメリカの船が良栄丸を発見していて

「1926年12月23日、シアトルから約1000キロの太平洋上で波間に漂う木造船を発見したが、
救助信号を送っても返事が無いので近づきました。しかし、吉栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを
見ていた10人ほどの船員は、誰一人として応えず、馬鹿らしくなって引き上げたのです」

という航海記録を残していて、後味が悪かったりする


405 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 00:16:37
>>402
それって漁船の乗組員が国際救難信号を知らなかったってこと?
1920年代じゃありそうな話だが。

407 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 00:41:28
>>402
>>405
信号を知らなくても、ガイジン相手で言葉が通じなさそうだとしても、
とりあえず、船を見かけたら「助けてくれー!」くらい言うんじゃない?
漁船の人達が正気だったなら、だけど・・・

でも、>>402の12月の時点で助けを求めず、
>1月27日。外国船を発見。応答なし。
では助けを求めようとした様子。これはどういう事だろう?


410 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 01:05:04
>>407
自分、この話をずっと前に読んだとき、
12月に外人船が見つけたときには既に全員死んでいて、
記録を残したのは成仏できてなかったからって解釈だったような・・・。
お前はもう死んでいる、のに気づいていない死者たちとかそういう感じ。

でも、今読んでそれも変だなあと思うんだけど。
この記憶の曖昧さが後味悪い。


412 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 01:22:30
>>410
私もざっと読んで、>>402に書かれている
>吉栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを見ていた10人ほどの船員
って幽霊だったのかと思っちゃった。
もしかして日記の12月ってのは1925年とかの12月だったりして。

413 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 01:40:16
>>410
>>412
なるほど。thx. 船の上の出来事っていうのは
ある種、薮の中というか、真実が明らかにならないから
後味が悪いですね。

実話を元にしたらしい、洋物アニメーションで。
ある夫婦がボートで海を渡ろうとしたが(大西洋横断?)
漂流し、幻覚を見るようになり、しまいにはボートを残して
海に泳いでいってしまう(自殺)。残されたのはボートだけ。

時代も古く、装備も軽い(妻なんかロングドレス)。
無理だろ?と思ったら無理だった。後味悪かった。
元になった実話も判らない。更に後味悪い。


453 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/07(火) 16:25:04
>>413
フランスのジャン=フランソワ・ラギオニというアニメ作家の、
「大西洋横断」だな。実話じゃないんじゃね?
途中、夫婦げんかして狭いボートで殴り合うシーンとか、
タイタニックの沈没に遭遇して、泳いでくる客をオールで
叩いて、自分らのボートに上がらせまいとするシーンとか、
後味悪い展開がお勧め。DVDの短篇集に入ってるみたいよ。

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