天才柳沢教授の生活/第122話「性」(山下和美)

863 名前:861 投稿日:2006/12/13(水) 23:20:10
不思議な少年の山下和美は「天才柳沢教授の生活」が1番有名だけど、それで後味悪かった話
タイトルは「性(さが)」
*教授は異様に生真面目な性格で、そのために常識とはずれた行動も取るちょっと変な人
 常に瞳が見えないような細目で、家族にも敬語で話したり、道は必ず直角に曲がったりする。

教授は近所の爺さんと将棋を打つ。
真剣な表情の教授の背後には延々と数式が描かれている。
「将棋は計算でやるもんじゃないですよ」
長考する教授に対し、爺さんは笑顔で言う。結果、爺さんの勝ち。
どれだけ練った作戦を取っても爺さんには勝てない。
いつか必ず勝とうと、爺さんの忠告にも関わらず、やはり教授は脳内で数式を渦巻かせる。

爺さんの家の前に黒服の男たちがいた。明らかにカタギではない。
男たちは爺さんに「帰って来てください」と懇願していた。
一先ず、周りが騒ぐので帰らせた。二人(+教授の孫娘)は銭湯に行く。
爺さんの背中には、鮮やかな菩薩が彫られていた。
爺さんはかつて任侠の世界におり、幹部クラスだった。
だが捕まり、出所した時には仁義も知らないような新参の男に
法を盾に組を乗っ取られてしまい、もう潮時だったと足を洗ったのだった。
なにもわからない孫娘は爺さんの背中を「きれい」と言う。
年のせいか皮膚がゆるみ、菩薩の顔は穏やかに見えた。
だが皮膚のように爺さんの心までもが変わったわけではないようだった。


864 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/13(水) 23:21:35
教授は爺さんの子供に話を聞く。
かつての父は恐ろしくもあったが、美しくもあった、
今では人々の波に埋もれてしまいそうな風貌になり、
人並みの安全な生活を送っているが、
でもそれが父に相応しい場所ではないように思うと言う。

教授と爺さんは将棋を打つ。はじめて教授が勝った。爺さんはわざと負けたのだ。
爺さんは組に帰るという。教授は目を開き(長い連載の中で数回しかない)、爺さんを止める。
「生まれもった性なんですよ」
足を洗うなんて事はやっぱりできない。
一度その世界に入ったらその世界で散るべきなのだと爺さんは言う。
教授は、性なんて言葉で誤魔化すべきではないと言う。。
理屈ではどうにもならない事もあると言ったでしょう、
と爺さんは言い、教授に背を向き歩き始めた。
その顔からは、もう穏やかさなど微塵もなかった。

一人、部屋の中で思い巡らす教授。
そこに孫娘がご飯だと呼びにやってきた。
「人間とはなんなのでしょう…」
教授は孫娘に向いそうつぶやいた。


883 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 03:14:26
>863ー864えっ?これでオワリ…?
将棋爺さんが組の幹部で自分の組へ戻った。
↑後味悪いポイントがわからん漏れに誰か解説してくれ

884 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 03:40:07
>>883
将棋爺さんは元○○組の幹部で今は隠居の生活
娘、婿、孫と4人暮らし(もちろんかたぎ)
組の抗争?かなんかで隠居の身になった
穏やかにすごしていたのに元組の構成員が「戻ってきてください!」と探し出してくる(再構築)
目の前にある穏やかな生活を捨てて組に戻る御隠居さん

別に後味悪いとは思わなかったけど
クズはクズで死んでいきますとしか読めなかった
周りの期待とかもあるだろうけど最初に選んだ道(極道)が間違いだった
結局どんなに穏やかで幸せな生活にいても男気としてDQN道を進むご隠居さん

人は変われるはずなのに、素晴らしい思考(将棋の打ち方)の人なのに・・・
なんでそんな道を選ぶのだろう・・・っと教授が納得できないで終わり   だったかな


895 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 10:18:59
「天才柳沢教授の生活」はドラマしか知らなくて、ドラマがフジTVのドラマに
ありがちなノリで好みに合わないまま山下和美の漫画を知ったのだが、
>863ー864の話のおかげで原作を読みたくなった。
この人、少女漫画っぽい画風の割りに後味悪い話を描くのが上手いんだな・・・。
「不思議な少年」は、既出かもしれないが、他の巻の駆け落ちしたカップルが
その先で幸せに暮らし、子供と孫に囲まれながら天寿をまっとうしようとした所で
現実に戻り、実は駆け落ちした時点でバスの事故に巻き込まれて二人とも
死んでいたって話も後味が悪いと思った。

906 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 14:08:42
>>884の解釈が後味悪いw

908 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 15:14:38
>>906の後味悪い理由がわからない。

912 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/14(木) 16:34:43
>>908
>目の前にある穏やかな生活を捨てて組に戻る
>クズはクズで死んでいきますとしか読めなかった
>男気としてDQN道を進む
ここら辺の書き方が後味悪い
じーさんが元々属していた組織は、非常な面もあるが威厳に満ちた美しい世界だった
そもそも、隠居生活は自分が欲した生活ではない
新しい組織の体制が仁義を軽んじるものだったせいで、自分の立ち位置が見えなくなり座り込んだ
穏やかな隠居生活の中でじいさんは徐々に美しい世界のことを忘れていく

>人は変われるはずなのに、素晴らしい思考(将棋の打ち方)の人なのに
じーさんの指しかたはじーさんの今までの生き方・考え方そのもので、隠居しても変わっていない
教授と将棋を指していくうちに、じーさんは自分の中の戻りたい気持ちに気付く

一度は捨てようとした世界だけれど、
自分を必要としている場所があり人がいる
どんな世界であれ、そこに義があれば戻る理由には十分

「人間とはなんなのでしょう…」
“人間"が誰のことを指しているかで後味が良くも悪くもなるかもね

っつーお話なんじゃねえの?!
むしろ後味いい

 

天才 柳沢教授の生活(14) (モーニングKC (1216))
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