黄泉の湯(ふゆきたかし)
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163 名前:1/4 投稿日:2007/06/16(土) 13:19:36
- 昔話で思い出した。タイトルは黄金の湯だったかな。 
あるところに滅法腕のいい猟師がいた。 
 必ず一発で獣を仕留めるので毛皮に傷が付かず、大層高値で売れた。
 彼が山で獲物を探していると美しい鹿を見つける。
 すかさず狙いをつけたが、初めて仕留め損なった。
 鹿を追って山をさすらううちに迷子になってしまい、偶然見つけた家に一晩泊めてもらう。
 そこで美しい娘に出会い二人はセックルする。山を下りた猟師は娘が忘れられず、何度もあの家を探して山を登った。 
 しかし二度と家は見つからず娘も現れなかった。
 狩りも止めてひたすら山を登る猟師はどんどん憔悴していき、村人達は心配し始める。
 そこで嫁をめとらせて落ち着かせようと謀った。
 猟師は乗り気でなかったが、押し切られて結婚することになる。
 妻をもらって以降は少しずつだが回復していき、狩りも再開する。
 二人は慎ましいながらもむつまじく暮らしていた。
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164 名前:2/4 投稿日:2007/06/16(土) 13:20:22
- だが何年経っても子供が出来ない。 
 信心深い妻は毎日お地蔵様の掃除をして供え物をしながら祈り続けた。
 ある日二人の家に旅の僧が現れた。
 そして一宿一飯の恩義に願いを叶えてやるという。
 妻は即座に「子供が欲しい」と言った。
 僧は難しい顔をしたが了承して去っていった。やがて妻は身重になり、子供が生まれた。 
 だがそれは人の子ではなかった。化け物の姿をしていてすぐ死んでしまった。
 妻はショックのあまり寝込んでしまう。
 猟師はこれは自分の罪ではないかと後悔する。
 今までたくさんの獣を殺してきたから山の神が怒ったのではないか。
 猟師は狩りを止め、銃を捨てた。二人は畑を耕して暮らすようになった。
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165 名前:3/4 投稿日:2007/06/16(土) 13:21:34
- それから数十年後。 
 妻はすっかり老けていたが、猟師は昔と変わらないまま若々しかった。
 ある日妻が言う。離縁して欲しいと。
 結婚してから数十年、猟師は全く年を取らなかった。
 かつて産んだ子は化け物だった。
 ずっと我慢していたがもう耐えられない。あなたが怖い。そう言って妻は実家に帰り、すぐに死んでしまった。 
 村人達は実家に帰った妻を怒って男が呪ったのだと噂した。
 未練がなくなった元猟師は村を捨てて、放浪を始める。
 多くの村や町を渡り歩いて暮らした。しかしどこにも定住はしなかった。
 月日が経てば年を取らない自分が気味悪がられると知っていたからだ。
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166 名前:4/4+1 投稿日:2007/06/16(土) 13:22:20
- 数百年放浪した末、元猟師はある長者の家に厄介になった。 
 錯乱した男から長者の娘を救い、感謝されて滞在していたのだ。
 日が経つに釣れ長者の娘と元猟師は親密になり、やがて恋に落ちる。
 だが男は恐れた。事実を知れば娘も去っていくだろう。
 悩んだ挙げ句に全てを打ち明けた。
 思案した娘は偉い行者様に相談に行こうという。行者は二人の話を聞き、うなずいた。 
 男の体には呪いがかかっている。それが不死を与えているのだろうと。
 呪いを解くには娘の協力も必要だ。
 二人で山奥の泉に入り、手を繋ぎ続ける。何があっても手を離さずにずっとつなぎ続ける。
 そうすれば男の呪いは解けて人に戻れるだろう。
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167 名前:5/4+1 投稿日:2007/06/16(土) 13:23:18
- 話を聞いた娘は喜び、さっそく二人は山奥に出かける。 
 泉に入り手を繋いでいると、男の体に変化が現れた。
 少しずつ髪の色が抜け、皮膚がたるみはじめた。
 やがて髪はすっかり抜け落ち、皮膚は醜い斑点だらけになった。
 さらに男は老いていく。
 皮膚は解け去り眼窩から目がこぼれ落ち、体が腐っていく。
 あまりの恐怖に娘は叫び声を上げ、手を離してしまった。
 その瞬間、男の体はバラバラに崩れ去り、二度と生き返らなかった。
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 なんつーか猟師の扱いが可哀想で後味が悪かった。
 山の神の化身かペットを撃ったせいで呪いをかけられたんだろうけど、何の救いもない。
 なぜ自分が死ねなくなったのかもわからず、家族にも捨てられてコッソリ一人で生きて、
 最後に希望を見つけたと思ったら裏切られた。
 と言っても娘を責めるのも酷だし…と後味が悪かった。
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171 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/16(土) 14:10:36
- >>167 
 最初に出てきた美しい娘はなんの関係もなかったの?
 それともその娘が山の神様関連のなにかなのかな?
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174 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/16(土) 14:20:22
- 「山の神の罰その1」じゃね? 
 本当は、その娘を求めてふらふら山をさまよって死ぬはずが、
 嫁さんもらったせいで罰その1は効果無しに。
 で、山の神は次の罰の不老不死を用意したと。
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175 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/16(土) 14:22:56
- >最初に出てきた美しい娘 
 ギリシア神話にこういうパターンが出てくるけど、
 神と愛し合ったので不死を与えられたのでは?
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181 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/16(土) 15:32:57
- >>171,174-175 
 最初の娘も山の神の化身かそっち系。
 大本の原因は鹿を撃ったこと。
 鹿を撃ったから、歩き慣れて決して迷う事がない山で迷子になった。
 んで娘の言われるまま風呂に入って、その風呂がいけなかった。
 人間は入ってはいけない湯か何かで猟師は黄泉の生き物になってしまう。途中の坊さんも地蔵の化身か何かで二人を救おうとするんだけど、 
 山の神の呪いが強すぎて無理だった。
 中途半端に解呪されて妻は懐妊はできたけど、人間の子供は産めなかった。
 どれもこれもはっきりとは書いてないけど、作中でわかるように暗示されている。
 あらすじがヘタで抜け落ちてスマン。



