ホーム » 小説 » 小説/な行 » ねじれた記憶(高橋克彦)

778 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/04(水) 23:22:21
高橋克彦『赤い記憶』より「ねじれた記憶」

男は三十年ぶりに、忌まわしい宿を訪ねた。
幼少時、父に逃げられた母はこの宿で女中として
住み込み、彼を養ってくれていた。

宿帳に名を記すと、番頭がいやらしい笑みを浮かべる。
「お客さん、こんなところでお仕事ですか?それともお楽しみで?」
なるほど、こんな場末の宿なら、そういうサービスを求めて
やってくる客がほとんどかも知れない。
「ああ、じゃあ一人たのむよ」

部屋を訪れたのは、肌の白い、美しい女だった。
彼は母親の面影を重ねる。
女は夫に逃げられ、連れ子がいることを打ち明け、
男は益々、親近感を強めた。
「不思議だね、うちの母も、ちょうどあなたのような年頃に、ここで勤めて僕を養ってくれたんだ」


779 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/04(水) 23:23:16
彼女の息子は、不幸な子供特有の目つきをしていて、
昔の自分を見ているようだった。

男は、この親子と家庭を作るのもいいかもしれない、と思い始める。

夜、身体を交えた後に、男は煙草をふかしながら、女に思いを打ち明ける。
自分の生い立ちがあまりに、その親子と似通っていることを。だから二人を
幸せにできると。彼は自分の名を名乗り、母の名を伝え、子供のころの
おぼろげな思い出を、女に聞かせた。

女は突然に狼狽し、裸のまま嘔吐しながら部屋を抜け出し、そのまま戻ってはこなかった。

男は宿の近くの絶壁で煙草をふかして待つ。
辛すぎて封印していた記憶を振り返る。
母も彼女のように、身体を売っていたこと。
今の自分によく似た男が、母を買ったこと。
その翌朝に、母は首をくくって死んだ。

男は、幼い自分が、母を奪ったその男を、絶壁から突き落としにやってくるのを待っている。


787 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 00:41:42
>779
男が子供時代に母の相手を殺したのはわかったけど、
娼婦はなんで話を聞いていきなりゲロ逃げしたんだ?

788 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 00:52:55
>>787
前スレだかで出た「マリーン」(主人公と船上で初めて会った少女が
そこで身投げして、時間を遡って小さい頃の主人公の前に現れる・・・
てのを繰り返す)と同じ系統かと。

つまり男=娼婦の子供


790 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 01:00:34
>>787
主人公とその母、宿にいた母子の境遇は酷似しているんじゃなくて「同じ」境遇なんだよ

791 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 01:03:17
>>787
>自分の生い立ちがあまりに、その親子と似通っていることを。
>彼は自分の名を名乗り、母の名を伝え、子供のころの
>おぼろげな思い出を、女に聞かせた。

 

緋(あか)い記憶 (文春文庫)
緋(あか)い記憶 (文春文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...