緋い記憶(高橋克彦)
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775 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/04(水) 23:04:34
- 高橋克彦『赤い記憶』より「赤い記憶」
男が、二十年ぶりに故郷に戻った。
友人が思い出を掘り起こすために持ってきた一枚の古地図を見て、男は怪訝に思う。
高校時代に繁く通った知人の家が載っていないない。そこに住む少女のか細い雰囲気に惹かれていた頃を思い出す。
当時、高校生だった男は、小学生だった少女に会うために、祖父と
二人で暮らしていた彼女の家に毎日のように足を運んでいた。
薄いトイレの扉ごしに、少女がまるめた新聞紙で尿をふきとる
音を聞いて動悸を早めた青春時代。紛れもなく変態である。地元で聞き込みを進める内に、ある老婆が、
「その家なら以前、あったにはあったが、焼け落ちたよ」
話によると、そこは男の生まれる、ずっと以前には、確かに
存在していた。男は狼狽して、仕舞っておいた記憶を掘り起こす。
あの日、彼がいつものように尋ねていくと、祖父は
マサカリで頭を割られ、少女は下半身を露に、ぐったりと
横たわっていた。
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776 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/04(水) 23:05:23
- 「お兄ちゃん……お父さんが友達を連れてきて、それでね、痛いの」
少女を抱き起こすと、内腿から粘る液が伝い、指に触れた。
「なんてことを……」
唇を噛みながらも、夢にまで見た少女の裸体は、あまりにも神々しかった。
「ケガがないか、見てあげる、大丈夫だよ、足を開いて」
「いたい、いたい、お兄ちゃんも同じなの?」
男は少女を犯し、一目散に逃げた。それから毎日のように新聞に目を通すが、
老人の惨殺事件の記事を目にすることはなかった。半信半疑ながらも、図書館で古い新聞を漁っていると、彼女と、老人の顔写真の
載った記事を見つけることができた。
男は茫然自失となり、夢心地で跡地を見に行く。幹線道路がひかれ、当時の面影は
微塵もない。男は少女の声を聞いた気がして、吸い込まれるように、道路に躍りだした。
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785 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 00:24:13
- >775
男は知らないうちに過去を行き来してたって事で良いの?
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786 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/05(木) 00:35:09
- >785
色々あって良いと思う。
俺ん中だと、寂しく死んでいった老人と少女が、遊んでもらいたかったんじゃないかな、って解釈。