一年半待て(松本清張)

169 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 11:12:11
松本清張の「一年半待て」

田嶋陽子みたいな主人公は、ある女性の裁判を応援する。
夫を殺した妻が自首したのだが、妻の境遇は同情に値するものだった。
夫は定職にも就かずぶらぶらと遊び暮らし、生活は妻が一人で支えていた。
酒を飲んでは妻や子供に暴力をふるい、妻の友人に手を出し浮気をしていた。
そんな生活の中で妻は発作的に夫を殺してしまったのだ。

当初から妻への同情の声は高かったが、主人公は更に煽って妻の無罪に向けて奔走した。
結果、懲役三年執行猶予二年の判決が下った。
主人公は控訴して無罪を勝ち取ることも考えたが、妻は罪に服す道を選んだ。
理由はどうあれ自分は夫を殺した、償いをしたいと。感心した主人公は妻の気持ちを尊重する。

裁判が終わって数日後、主人公の元を一人の男が訪ねた。
妻の裁判は本当に正しかったのか。嘘はなかったのか。男は無礼な質問をぶつけてきた。
無礼をわびながらも男は語り続けた。妻はある男に恋をした。しかし妻は夫がいる身である。
惚れた男が出来たから別れてくれとは言えない。ふしだらな女と後ろ指を指されたくはない。
ならどうすればいいのか。夫が死ねばいい。
しかし健康な夫は死にそうもない。夫を死なせるには工夫が必要だろう。
何より罪に問われてはまずい。夫を殺しても罪に問われない細工が必要だ。
それには時間がかかる。妻はその期間を一年半と踏んだ。

夫が仕事を辞めるようにし向け就職活動の妨害をした。
気分転換に酒を飲ませ続け、アル中になるようにし向けた。
セックスを断り続け、友人と出会わせ二人きりになるようにし向けた。
後は簡単だ。気が小さい夫は転がるように坂を下っていった。
夫を始末した後は予想通り世論が支えてくれた。

話を聞いた主人公は怒りと動揺を覚えながら聞き返す。「証拠はありますか?」
「証拠はありません。でも彼女は私のプロポーズに『一年半待って』と答えました」
話し終えた男は去っていったが、主人公はいつまでも立ち直れなかった。


170 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 12:13:00
>>169
あれは確かに後味悪いよね。
見たことないけどドラマ化されたのもあるらしくて気になる。

171 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 12:15:46
後味悪いっていうより
物凄く有能な女性だな~と感心してしまった。

172 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 12:34:10
我が国は女がDVと叫べばDV男と認定される国ですからw

でもこの男は彼女と結婚しないと思うな。次は我が身だし


173 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 12:37:46
つうか人を殺した女と好き好んで結婚する男はいないんじゃないかな。

185 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 14:12:49
>>169
田嶋洋子みたいな女

この省略の仕方が出来た>>169はかなりの才能があると思う


187 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 14:48:05
>>172
確か結婚しなかったよ。男が最後に
「しかし彼女の誤算は、一年半待たせた男が逃げ出した事です」とか言って。

190 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/23(月) 16:10:37
>>172
ドラマ版を観たけどラストの場面が空港で弁護士への告白を終えた男は一人で発っていった
そのあと男と一緒に行くつもりでウキウキしながら空港に現れた妻が呆然とする弁護士に気付き、
それまでの笑顔から氷のような無表情に変わっていくシーンで終わりだった

 

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