火車(宮部みゆき)

204 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/04(土) 22:55:21
宮部みゆきの「火車」の中のエピソードのひとつ。
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ヒロインの一人はかつて父親の借金(家のローンか何かがきっかけ)により一家離散し、
故郷を離れて一人で働きながら生きていた。
そんな彼女に、その土地の名士(老舗の不動産屋)息子が惚れこむ。
美人で仕事も家事もできる励まし上手(かつ誘導上手)で健気な雰囲気の彼女に
ぞっこん惚れ込んだ名士の息子は、親の反対を押し切って彼女と結婚した。
二人は新婚旅行で幸せを噛み締め、戻ってきたのち入籍する。

しかしそれが不幸の始まりだった。
戸籍が動いた事から彼女の居場所を察知した借金取りが押しかけてきたのだった。
父親の借金なので彼女に払う義務はないのだが、
「こんないいところの若奥さんにおさまっておいて知らん顔かねえ」と
噂を流したり嫌がらせをしたりしてくる。
すっかり参ってしまった彼女と夫は弁護士に相談するが、
「父親の借金なので、父親を見つけて自己破産させるか、死亡を確認して
彼女が相続放棄の手続きを取るか、あるいは7年待って失踪宣告を取るしかない」
と言われる。
父親がどこかでなくなっている可能性を考え、二人は図書館か役場だかで
死亡者の情報が載っている資料をあたるが、必死に父親の情報を探す彼女を見た夫は
「どうかお父さん死んでいて下さい」と彼女が願っている事を感じ取り、
すっと彼女に対する愛情が冷めてしまった。
結局二人は離婚し、彼女は「このままでは幸せなんて望めない」と
思いつめるようになった。
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この後の思いつめた彼女の行動が引き起こした(と思われる)事件について
主人公たちがさぐっていく、と言う話なんですが、
このヒロインの願いも旦那が冷めた事も無理もないだけに後味悪い。
小説のメインストーリーも結構面白いのでお薦め。


206 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/05(日) 00:52:09
>>204乙
なんかその不動産屋の息子、人の表面しか見ないヤツだね。
宮部みゆき結構好きだけど、それは読んでないから今度読んでみます!

 

火車 (新潮文庫)
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