おばあちゃんの嘘

386 名前:1/2 投稿日:2007/09/21(金) 11:51:21
実話ですまん。

自分は病院の受付のバイトをしてる。
ちっちゃい個人の病院で、医者は院長先生一人。看護士さんと受付バイトが数人。
あとは、たまに院長先生の息子が代診で来るぐらい。
患者さんはだいたい近所にすんでて、先生とは顔見知りの人が多い。
だから、患者さんがどこのどんな人だとか、先生はよく知ってる。
私はバイト先と家とが遠いから、そういうのは全然わからないんだけど。

こういうちっちゃい病院にも、常連の人がいる。
患者さんで常連っていうのもおかしな表現かもしれないけど。

常連さんの中に、91歳のおばあちゃんがいる。
上品で、清潔感のある、おしゃれなおばあちゃんだ。いつも鮮やかなピンク色の口紅をしてる。
おしゃべりが好きで、診察に来ると、誰彼なく色々しゃべって帰っていく。
もちろん私にも、色々話を聞かせてくれていた。


387 名前:2/2 投稿日:2007/09/21(金) 11:53:17
おばあちゃんはしゃべっているときが一番幸せそうに見える。
「この杖おしゃれでしょう。花柄で。海外に特注したの」
「若い頃はねえ、あちこち海外に行ってたんだけどね、東南アジアの方とか。もう駄目ねえ」
「親戚にね、リハビリ専門の医者をやってるのがいるんだけど。見せにこいって煩くてねえ」
「弟が未だに甘えてくるもんだから、困ってるのよ。昔から頼られやすい人間だから、わたし」
って、まあ大体自慢みたいなもんなんだけども。
お年寄りの話を聞くの嫌いじゃないから、色々聞いていた。真面目に。

ある日そのおばあちゃんが帰ったあと、先生が
「あのひとも、かわいそうやなあ」と言った。
どういうことかたずねると、苦笑いで教えてくれた。
あのおばあちゃん、近所の人からも、息子からも嫌われて、独りで住んでいるらしい。
親戚に医者がいる話も嘘臭い。紹介状書こうとすると話を濁される。
弟はだいぶ前になくなっている。

開いた口がふさがらなかった。
あんな幸せそうに嘘をつく人がほんとにいるんだ、って。

本当のことを知ってから、おばあちゃんの話を聞くたびに、なんか後味悪い。


388 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/21(金) 12:04:19
>>386-387
なんかすごい不憫だ。
きっとあなたが、へーすごいですねえって話を聞いてくれるときが
一番幸せなんだと思う。
大変そうだけど頑張って聞いてあげてほしいなあ

391 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/21(金) 12:23:59
本人に嘘をついているという自覚があるかどうかも疑わしいしな

392 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/21(金) 12:24:11
寂しさゆえというか、
家族からも嫌われてる所を見ると
普通に若い頃から見栄っ張りで虚言症なんじゃない
爺ちゃん婆ちゃんは好きだが、年寄りだからと何でも許されるわけでもない

393 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/21(金) 12:27:49
お婆ちゃんは話し相手がいなくて寂しいんじゃないの?
病院だって、診察そのものより>>386や診察医に、自分の話を聞いて欲しくて通院してるのかも知れないし。

394 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/21(金) 13:17:47
だが話し相手がいないのはなぜか。
寂しい思いをするのは一体なぜか。
さあ、考えてみよう。