パイナップルARMY/エクスタインの風景(浦沢直樹)

110 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/19(土) 01:29:09
ちょっと前にネカフェで読んだ、パイナップルアーミーの中の一話。
主人公・豪士(字が曖昧)と、その彼女が公園で散歩していると
一人の老人がイスに座って絵を描いているのが目に入る。
のんびり公園の風景を描いているのかと思ったら、
目の前の公園の景観とは全く違う、どこかの家の絵を描いてる老人。
不思議がる彼女だが、豪士は彼が前々からそこに座って、ひたすら同じ絵を手直しし続けていることは知っていた。
だが、なぜ同じ家の絵を描き続けているのかは分からない。
2人が老人の前を通り過ぎたその直後、突如車がやって来て老人に突っ込む。まるでひき殺すかのように。
慌てて駆け寄る2人と、一目散に逃げ去る車。だが、豪士は運転席の男の顔を見ていた。
老人は辛うじて無事だったが、その日以降公園に現れることはなくなってしまった。

ある日、豪士の元にある男がやってくる(豪士は確か戦闘の講師か何かの仕事をしている)。
その男はなんと、公園で老人をひき殺そうとして逃走した男だったのだ。
男は豪士に戦闘を教えてくれと頼み込み、疑問に思いながらも、仕事だから、と引き受ける豪士。
そしてそのレクチャーの約束の日、集合場所いつまで経っても現れない男に痺れを切らした豪士が
辺りを探索してみると、男が心臓をナイフで突かれて死んでいた。一体誰が殺したのか…。
豪士は調査をし、その結果、死んだ男が元ナチスの将官で、戦時中ユダヤ人をひたすら虐殺していたということが分かる。
それと同時に、例の老人がユダヤ人であり、男に家族全員を目の前で惨殺されたことを知る。

数日後、公園には老人の姿があった。
相変わらず熱心に絵を描き続ける老人。豪士と彼女は彼の前を通りがかり
「きっと彼は絵を描くことによって、家族を思い出してるんだろうね」「早く絵が完成すればいいのにね…」そして歩いていく。
その瞬間、老人は筆を置いて微笑む。絵が完成したのだ。
その完成した絵に描かれていたのは、閑静な家、そして庭に心臓をナイフで突かれた男の死体だった。

どこにも老人が男を殺したとは描かれてないけど、それをほのめかすような描写はあったと思う。
仇をとったんだろうが、何だかラストが釈然としなかった。

 

パイナップルARMY (Operation 5) (小学館文庫)
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