ホーム » 小説 » 小説/か行 » 獣がいる(中井紀夫)

722 名前:1/2 :2008/09/11(木) 14:10:41
ホラー文庫「こわい話をしてあげる」ってのに載ってるよ

ついでにそれに載ってたもう一編の話「獣がいる」

高校受験を控えた夏、中三の卓摩は学校に行こうとすると
激しい下痢を起こして家に閉じこもる日々が続いていた。
下痢の理由は歪んだ家族関係にあった。
父親は以前会社の部下と浮気をし、それが母親にばれ、それ以来両親の間には冷たい空気が漂っている。
そしてそれを埋めるかのように母親は「一緒にお風呂入ろう」(実際中二までは入ってた)と卓摩を誘い、
父親も再び部下との浮気を再開していたのだった。

そんな卓摩を見て友達のヨシオが、自分の父なら治せるかもと声をかける。
自分の喘息も父が治してくれたのだと。
ヨシオに連れられビルの一室で鍼灸院をやっているヨシオの父と会い、話をしたら、
とりあえず週2くらい通ってきなさいと言う。ゆっくり治そうと。
しかし来年受験のこともあり、ヨシオは父に止められたのにも関わらず、
こっそり「羊」だと言って段ボール箱に入った猫ほどの動物を卓摩に渡す。
明るいのが苦手だそうでよく姿形は見えないが、
週一程度ペットフードを与えて育ててればきっと腹具合が良くなると。

実際、押し入れに「羊」を飼いだしてから
卓摩の腹は調子が良くなり、学校にも通いだし、受験も成功した。
そして高校生になり、クラスにちょっと気になる女の子ユリカも出来たりして、楽しい高校生活を送る卓摩。
ただ家に帰るとあの「羊」が、なぜか押し入れの中板を
外さないといけないほど大きくなって、生肉のエサをせがむ。
ヨシオに相談しようと久しぶりに会いに行くと既に引越してしまっていた。
母親は動物がいることをなんとなく分かっていたようだが、
とうとうある日父親が気付き卓摩を追求した。

「飼わなくちゃいけないんだよ。みんな獣をどこかに飼ってるんだ。お父さんだって、会社に飼ってるよね」
と言われその場はそれっきりになった。


723 名前:2/2 :2008/09/11(木) 14:11:40
そのうち突然ヨシオから卓摩に手紙が届き、
卓摩は「羊」のエサのためのコンビニバイト中に早速ヨシオに電話した。
鍼灸院の家賃が払えなく夜逃げし、離れた町でいまヨシオの父は易者をやってるとのこと、
「羊」のことを聞いたら困ったように、エサをやりすぎちゃだめ、とりあえずエサを減らすようにと言われる。

しかしその夜、先に帰った卓摩の父親が、酔った勢いで押し入れをいじり、「羊」を逃がしてしまう。
部屋の窓ガラスを割りどこかへ「羊」は走り去ってしまった。

卓摩は一晩中羊を探すが見つからない。
朝、疲れてぼんやりとテレビを付けていた卓摩の耳に、
自宅で睡眠中に窓を破って入ってきた賊に滅多切りにされてユリカが死んだとのニュースが聞こえる。

そしてその夜、会社で仕事中の卓摩の父親に、浮気相手の女子社員から電話が入る。何かがいる、怖いと。
わからず話を聞いてるうちに電話の向こうで女子社員の叫び声と「羊」のうなり声がして静かになった。

そして急いで帰宅した父親は卓摩を再度追求する、女子社員が殺された、あの「羊」はなんなんだと。
「女子社員ってパパの浮気相手だね」と卓摩が言ううち、別室の母親が飛び込んできた「羊」に襲われ死ぬ。

逃げてく「羊」を卓摩は「あいつは僕なんだ、僕が押さえないとだめなんだ」と止めようとし、
右手首をかみちぎられ、それでも追いかけて外に出て行った。
そこに(ヨシオが「羊」のことを白状したので)ヨシオ親子もかけつけ、父親と3人で卓摩を探しまわったが見つからず、
1時間ほどで3人が家に入ったらそこに卓摩はいた。
父親が「戻っていたのか、右手の怪我は?」と問うと「怪我?」と卓摩は両手のひらを見つめている。
その様子を見てヨシオ父は唐突に「我々はこれで」とヨシオと出て行った。
「…もうダメだ戻らない」と話す声が外から聞こえてきた。終


725 名前:本当にあった怖い名無し :2008/09/11(木) 14:52:03
羊=欲望ってこと?

726 名前:本当にあった怖い名無し :2008/09/11(木) 14:58:30
内なる本性とか獣性ってことじゃね

727 名前:本当にあった怖い名無し :2008/09/11(木) 15:09:13
宅間は羊に取って替わられてしまったんだよ

728 名前:本当にあった怖い名無し :2008/09/11(木) 15:12:05
自分もよくわからずネットで調べたら>725-727みたいな解釈をされていた

 

死神のいる街角 (ふしぎ文学館SPECIAL)
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