ホーム » 小説 » 小説/あ行 » お願い(星新一)

800 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/27(木) 02:11:29
星新一 「お願い」

あるところにA氏という人物がいた。彼はそこそこ裕福で独身だった。
そんな彼の所に、コウモリの翼を生やした悪魔がやってくる。
とまどうA氏に悪魔は取引を持ちかける。
それは、死んだ後で地獄に落ちる代わりに、願い事を3つ叶えてくれるというものだった。
ただし世界征服などあまりにも無茶な願いや、願い事の数を増やすといった事柄を除いて。
しかしA氏は断る。
この世でさんざん良い思いをしても、死後に地獄で苦しむのでは割に合わないと思ったからだ。

しばらくすると、今度は白い翼の生えた天使がA氏の元にやって来た。
天使もまたA氏に取引を持ちかける。
それは、悪魔とは逆でA氏が天使の願いを聞いてやって、
その代わりに死後は天国に行けるというものだった。
これこそ待ち望んだものだ。「少々苦労をしても死後に天国に行けるなら安いものだ」と
A氏はすぐに天使と契約した。

さて、契約したもののどんな願いを聞かされるのかとA氏が思っていると、
天使がやってきて大金を要求した。その金額は、A氏の貯金の大部分だった。
「天使の癖に金を要求するとは!」とA氏は憤るが、どうやら困っている人々に寄付するらしい。
しぶしぶ天使に金を渡して帰ってもらった。


801 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/27(木) 02:12:33
落ち込んでも仕方がないと、気を取り直して海岸を散歩しているとまた天使がやってくる。
そこの波止場で溺れかけている人がいるから助けて欲しいと言うのだった。
A氏は泳ぎは苦手だったので、海に入るのを躊躇したが、意思とは逆に体が勝手に動きはじめる。
どうやら、天使の「お願い」には逆らえない体になってしまったらしい。
A氏は死に物狂いでなんとか溺れる男を助けたが、男はお礼すら言わずに何やらブツブツ言っている。
男は「何ということだ、こんな事で願いを使ってしまうとは…」と言いながら去って行った。
どういうことかとA氏が訝っていると、いつかの悪魔が現れる。そして、さっきの事態を説明してくれた。

「あの男は私と契約したのです。今、願い事の一つを叶えて助けてやったというわけで…」
A氏は愕然とした。じゃあ、今さっき自分のした事は天使じゃなくて悪魔の手助けじゃないか。
悪魔と天使はグルなのかと聞くと、そうではないが仕事上の分野が近いのでバッティングすることはよくあるらしい。
「だが、願い事は2つ叶えた。後一つで俺は天国行き決定だ!」と言うA氏に対し、
悪魔は「天使と契約する時に、叶える願い事は3つだけだと言ってましたか?」と言い残して去っていく。

そう言えばそんな事は確認せず、勢いで契約してしまった。
まさか、一生無茶なボランティアをし続けることになってしまうのか?
頭を抱えるA氏のところに、また天使がやってきた。
今度は可哀想な女性を紹介するからその人と結婚して欲しい、というものだった。
どんな人なのかとA氏が聞くが、とにかく可哀想な人で、夫に全財産を持って若い女と逃げられた人妻だと言うのだ。
なるほど、これもまた悪魔の尻拭いなのかと悟ったA氏は、天使に「お願い」と言われる前に海に飛び込んで自殺した。
彼の魂は、天国に行けたのだろうか…


802 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/27(木) 13:39:12
なにその悪徳商法みたいな天使w

828 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/28(金) 18:07:27
>>801
自殺はキリスト教では大罪なんで地獄行き決定

 

どこかの事件 (新潮文庫)
どこかの事件 (新潮文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...