おめえだよ(ミドリカワ書房)

237 名前:本当にあった怖い名無し :2009/01/19(月) 17:10:56
緑川伸一 「おめえだよ」

主人公は最近結婚したばかりのサラリーマン。
嫁はバツイチで、大介という名の連れ子がいる。
前の父親は遠慮なく殴る蹴るの暴力を奮う男だったそうだから、
自分は決して大介に手を上げたりなんかしないと固く誓った。

仕事が上手く行かなくてイライラしながら帰宅した主人公は、
居間でテレビを見ている母子をスルーして自室に篭った。
気持ちを静めるためにひたすらタバコを吸っていたところ、大介が部屋に飛び込んできた。
大介はハイテンションで、幼稚園であったことをまくしたてるように話す。
疲れていた主人公は相手をする気分になれなくて、
もう夜も暮れていたので眠りなさいと諭すが、大介はかまわず足にしがみついてきた。
離しなさいと言って振り払うと、大介は鈍い音を立てて倒れた。

主人公は嫁と共に大介をトランクに詰め、遠くの街の海に投げ捨てた。
「久しぶりに二人きりになれたね」
そう言って嫁が寄り添ってきた瞬間、主人公は背筋が寒くなるのを感じた。
やがて警察に捕まった主人公は、経緯を語った。
大介を殺したのは僕じゃない、なにが大介を殺したのだろう、
政治ですか経済ですか神様ですか、主人公はそう言い続けた。 

 

 

みんなのうた3
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