ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その103 » 人魚岬の異邦人(檜垣レイコ)

574 名前:人魚岬の異邦人 :2009/05/29(金) 20:25:10
時代は明治、主人公は特派員として日本にやってきたイギリス人チャック。
チャックは様々な日本の不思議にであう。

チャックは人魚のミイラを見せてくれるという寺に出向く。
美しい尼僧が出迎えてくれ、人魚の話をしてくれる。内容はよくある八百比丘尼の話。

その村では捕らえた人魚は災厄を呼ぶとされ、
誤って捕らえた時は岬の岩牢に閉じ込めて処分することになっていた。
ある娘が人魚の薬効で父の病を治そうとし、村人に見つかってしまう。
村人によって人魚の肉は取り上げられ、父は病が高じて死んだ。
掟を破った娘は人魚とともに岩牢に閉じ込められてしまった。飢えに耐えかね、娘は人魚の肉を口にした。
満ち潮になると岩牢は海水で満杯になり、娘は海水にさいなまれ続ける。
ようやく一人の青年に助け出されたとき、すでに100年が経っていた。

青年は娘を妻に迎えた。娘は自分の身の上を正直に話し、夫となった青年に人魚の肉を食べて
共に不老不死になってくれるよう頼む。夫はそれを受け入れた。
だが、当然年をとらない二人は気味悪がられるようになる。二人は住まいを転々とせざるを得なくなった。
子供も生まれたが、子供には不老不死は受け継がれず、子供も孫も二人より先に老いて死んでいく。
耐えきれず気が触れた夫は、海へ入って行って姿を消した。

娘はそれから幾人かの男に出会った。娘は男たちに人魚の肉を食べてくれるよう頼む。
食べた者は不老不死の重さに耐えきれず娘の前から姿を消した。
永遠の命に恐れを抱く者は食べるか否かを老いて死ぬまで悩み続ける。
殿方にはそのどちらかしかいない、と尼僧はさびしげに呟いた。

寺からの帰り道、チャックは岩牢があったという岬に立ち寄る。そこには一人の老人がいた。
「どうすればいいんかのう、わしはまだ死にたくない、どうしたらいいんかのう、しかしこれを食べたら」
老人はぶつぶつと呟いている。チャックは老人が落としたものを拾い上げた。
それは、大きなうろこのついた何かの肉。チャックに老人は問う。「お主は、どうしたらいいと思う?」

チャックが言葉に詰まっていると、尼僧が老人を探しにきた。尼僧は老人にそっと肉を持たせて言う。

「急がなくてもいいですよ、どうぞゆっくり考えて。待っています。…私、気が長いですから」


577 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/30(土) 01:14:55
「不老」だけなら迷わず食べるけど「不死」はつらいな

579 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/30(土) 02:01:47
老人なってから不老不死になってもなあ

 

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